事業承継を考えている税理士さんは、かなりの数に上ると思います。
税理士の平均年齢が60代中盤になっていますので、サラリーマンの世界ではすでに全員定年。
それらの先生たちの生活を考えると、ほとんどの方が子供はすでに社会人として独立。
もう子育てにお金を使う必要もない世代ですし、資産形成も終わっている人がほとんどです。
子育てをするときのエネルギーと事業を成功させようという時期が、同時並行で流れます。
家の大事と、事務所の成否が同じ時期に来ますので、仕事に100%の力を入れなければ万事休す。
その時期を無事過ごせたのも、経済成長の良い時期に税理士稼業を始めた60代後半の先生達。
誰が、どのようなことをしても、お客さんが自然に増えた時代の、もっとも経営環境の良い時代。
税理士事務所としての基礎(売上)はすぐに出来上がり、後は努力(発想)次第で、発展もできた。
経営者として事務所を大きくすることも、こじんまりと数名の事務所で満足することもできた。
もちろん、12年前の税理士法人の誕生がなければ、個人事務所の限界は当然あった。
しかし、この制度誕生の趣旨を見抜いた税理士は、事業承継のシステムを大いに利用した。
個人事務所に後継の資格者がいなければ、経営者の死亡で個人事務所は消えていくのみ。
後継者のいない個人事務所のオーナーは、自ら作り上げた事務所の灯を消したくない、と言うのが本音。
何とか、後継者を探したい。しかも、自分の好みの人を、と言うものの、そう簡単には見つからない。
自らが後継者を育てることができなかったのだから、人から勧められた人を簡単には信用できない。
まさにこんなジレンマを抱えた先生が、当社にも連絡が来る。
話を聞いていると、近い未来か、それとも遠いのか、かつまた、今なのか、言葉は揺れ動きます。
結果、当方の対応が遅れたり、早すぎたり、先生もも混乱します。
しかし、じっくり話を聞く体制の当社では、とにかく時間がかかることは厭いません。
昨日、契約した案件も2年がかりでした。(明日の案件は、3年がかりです)
十分先生のご意見を聞き、事実、ご家族の話も聞きました。
結果、一番いいと思われる解決法を提案し、その線で話がまとまりました。
これはまさに、タイミングです。仲介者が一番心がけなければいけないことです。
早すぎてもいけないし、遅すぎてもいけない。
どこの世界でも、何の業種でも、人間同士の話はタイミング次第ではないでしょうかね。
事業承継支援室長
大滝二三男