税理士事務所の事業承継の相手を探そうと、某事務所の所長が取引先の金融機関に依頼。
当然、仲介業務を行う契約に双方が判を押し、金融機関が承継者探しを始めました。
仲介業者が最初に紹介した税理士法人からは、承継金額が高すぎると断られました。
なんと年商の1.5倍を吹っ掛けたものですから、今の時代は誰でも当然ノーでしょう。
その後に紹介された税理士法人とは、話がとんとん拍子に進んだが、金融機関との間でトラブル発生。
承継予定の税理士法人の職員が大挙して事務所を赴き、なんと帳簿等を調べることに。
正式な契約ができていないうちに、そのような行動に出るとは、税理士事務所の承継では初めてのこと。
弊社にもその事態に関して相談があり、「そのような対応はあり得ません」と回答。
その際に、金融機関の担当者も臨席し、守秘義務があるはずの顧客リスト、申告状況までもチェックする。
このような行動に、仲介業者である金融機関の担当者は何も反応せず、承継候補者の職員のなすがままに。
弊社はその事態を説明され、解釈を依頼されたので、顧客と税理士との守秘義務を犯す行為と説明。
やる方もやる方だが、それをやらせる方にも、法律家としての認識がなっていないと解説。
そんなこんなで、大手金融機関の担当者は、自ら撤退(仲介業務の契約解除)を申し出た。
もしもこの業者が撤退を申し出なかったら、契約成立時にはないがしかの報酬を払うことが必要。
ところが、撤退を表明し、契約解除した途端、当初の金融機関から紹介された税理士法人と契約締結。
実のところ、譲り渡す側の税理士は金銭には非常にシビアな人。
結果的に、一切仲介手数料を支払うことなく契約が完了したのだから、両者とも万々歳。
情報を提供した金融機関には、ただご苦労様とした言えば済む話。
それでも、紹介した両者が承継契約を締結したとなると、金融機関としても面白いはずはない。
さてさて、そのしっぺ返しは、いつどのような形で出てくるのか、注目するところだ。
こんな話はどこにでもある話ではありません。私も初体験の疑問だらけの承継話です。
でも、弊社のように実践を数多くこなしてきたからこそ、入ってくる情報です。
今後もこの情報の行方を追いかけてみます。
事業承継支援室長
大滝二三男