30年、40年、50年と税理士家業を続けてきた先生が、自らの”定年”を決めるきっかけは?
もちろん、病気もあるでしょうし、気力・体力の限界を感じた結果かもしれません。
その長い経験の中で培われた深い人間関係を断たねばならないのですから、その思いは?
お客さんと先生という立場を離れて付き合っていられるのは、それほど多くないようにも思えます。
”竹馬の友”ではありませんが、何を置いても相手の立場を尊重しあう、中身の濃い付き合いは?
そう、お客さんの中には、一人や二人のお客さんとはそういった関係があるかもしれません。
でも、税理士を辞めたらどうなるのか、心配の種は尽きません。
帳面を介して、ギブアンドテイクで結ばれた中ですから、その関係は本当は、ドライのはず。
先生と言えなくなったとき、多くのお客さんは静かに離れていくでしょう、当然です。
ご家族はホッとするでしょうが、果たして今までの”仕事人間”がどうなるか不安でもあるでしょう。
サラリーマンには、いやでも定年があり、自動的に職を奪われます。
しかし、税理士家業は、オーバーに言えば、生きている限り、仕事ができるのに、リタイア。
自分しか、”定年”を決めることができないわけですから、決定までには様々な考えが浮かぶでしょう。
もちろん、ボケが始まっていたのでは、これはしようがありません。
お客さんの迷惑を考えると、一日も早く後継者を探さなければいけないでしょう。
そんなことを言っても、ご本人が自覚していないことのほうが多いので、周りの方のチェックが重要。
実際に税理士であることは分かっていても、仕事はまるでできなくなった先生の後継者選びも経験。
もちろん、実務的な打ち合わせなどはご家族と行い、最終的な話は家族から先生を説得。
仲介者である我々を認識できないので、仕方がありません。
こんな事例を経験すると、先生が元気なうちに、ハッピーリタイアの舞台を設定されたら、と考えます。
辞めたいが辞められない、みなさんが同じ思いで、最終章を迎えている気がしてなりません。
事業承継支援室長
大滝二三男