子供が後を継がない税理士の従業員に対する思いは、果たしていかに?
税理士となって同じ事務所に働いている子供にも、なかなか経営を委ねない。
どうして?
自らが築いたお城を奪われたくないというのが、本音のようです
どうして?
自分の椅子がなくなるのが怖いようです。
どうして?
自分しか信じられないようです。
どうして?
お客さんは自分を信じてついてきたと考えているから。
どうして?
誰も事務所のために営業なんてできなかったし、しなかった。
お子さん(60歳中盤の税理士)に金庫のカギを任せませんか?
それはいつか渡しますよ。(90歳に近づこうとしている税理士の返事)
お子さん(40代後半の税理士)も事務所拡大に努力されてたはずですが?
いいえ、彼は営業していません。お客さんのほとんどが私のお客さん(70代前半の先生)です。
なかなか後進い道を譲れませんね。もちろん、お子さんにも。
死ぬまでできる仕事だからでしょうね。
お子さんにも渡せない経営権ですから、勤務税理士になんて、渡せるはずはありません。
勤務税理士もそのことが分かっていますから、所長が元気なうちは、「独立はしません」。
ところが、所長が事業承継で他の税理士に事務所をゆだねるとなると、「私、独立します」。
所長はびっくり。「独立するだけの根性はない」と言い切っていたのに、「おい、話が違うぞ」。
こうなってしまうと、取り返しはできません。
自分の担当のお客さんを持って、独立です。
当然、雇用される際に、「お客さんを持っていきません」と誓約書にサインをしているはずです。
でも、この誓約書はほとんどが守れません。仁義なき独立ですね。
自分が作り上げた事務所を死ぬまで確保したい、家族に残したい、それが本音でしょう。
ですから、家族のことを考えてくれない勤務税理士には、事務所を任せるはずはありません。
後継者となることを望む、血液関係のない従業員(税理士)には非常に厳しい環境となります。
余程、譲る側の先生が大きな心を持っていなければ、血の繋がっていない人に渡すのは躊躇します。
駄々をこねても、結果は一緒ですが、先生が腹を決めた事務所の承継は実にスムーズになります。
ただし、勤務税理士に承継されるかと言えば、その割合は50%にも達しないでしょう。
どちらがいいのかわかりませんが、お客さんの立場を考えれば自ずと結論は出ます。
勤務税理士も事務所を継ごうという人は、果たしてどれくらいいるでしょうね。
少ないのは事実です。
事業承継支援室長
大滝二三男