税理士の先生方は、お互いに経営内容を開陳することはほとんどありません。
ですから、事業規模もわかりませんから、いざ、事業承継をしようとしても不可能です。
職員の数を聞いていると、その規模がおよそは分かりますが、その実態は分かりません。
先日も職員数6名という都内の先生から、相談が持ち込まれました。
数年後には事業承継しようと思っているのだが、相手は見つかるだろうか、というものでした。
都内であれば職員6名で、およそ年商は6000万円程度だろうと思っていました。
ところが、売り上げは良い時の半分で、3000万円がやっとだというのです。
しかも、年齢構成は、60代から40代までの中高年者の組織。
仕切っているのが、”お局さん”。その縁戚の職員も在籍。
先生もその職員を無視しては、自由に動けないほどだという。
事務所を離れ、近くの喫茶店に席を移し、話を聞くと、年金までも事務所経営に拠出しているという。
言ってみれば、職員のために事務所を経営している状況で、年々資産が減っている。
それなら事務所を閉鎖するとか、職員減らすとか、あるいは営業を全職員でするしかないと提案。
こうなると、事業承継を考えたようだが、赤字事務所を引き受けるような人はまずいない。
仲間にお願いするのが一番だが、経営の実態は知られたくない。
こんな先生が30年以上も経営できてきたことこそ、驚きだが、現実にそんな先生もいた。
通常、税理士事務所で赤字になっているのは、副業で失敗した例しかない。
でも、こんなにやさしい先生もいるんですね。ここ数十年間で貯めた資産を社会のお返ししているようです。
そんな隣人の経営を承継したくはないから、経営の話はお互いにしないのでしょうかね。先生!!
事業承継支援室長
大滝二三男