事業承継をの交渉を進めていると、必ず訊かれるのが、職員への説明時期。
交渉相手から事務所に電話がかかり、職員が不信に思うことがあります。
日頃から辞めたいと言っている先生の場合は、交渉がバレることにも。
特に女性職員の勘は鋭いですから、先生に直接説明を求めることもあります。
この場合、先生によってはシラを切り、そのまま秘密交渉を進めます。
しかし、何時までも口を閉ざしているわけにもいきません。
そこで、双方の基本認識が一致した際に、職員に披露することがあります。
説明を受けた職員の質問は、雇用、給与、就業条件などに集中します。
これまでの仲介案件で、上記の条件を大幅に変えた例はありません。
就業時間が少々異なり、これは後継者の事務所に合わせるのが通例です。
しかし、主婦でもある従業員によっては、終業時間に拘ることもあります。
実際の運用では、従来通りの就業時間を認める例も多い。
これは職員あっての事務所ですから、職員の処遇は変えないのは普通。
ですから、職員に説明した結果、職員が辞める事態にはなりません。
それでも、後継者の素性を確認し、安心して仕事を続けたい。
それが職員の思いですから、後継を決める前に、自分達にも訊いて欲しい。
こう考えると、契約前には相手を明らかにするのが、リスクは少ない。
しかし、一家言持つ職員がいる場合は、説明は全員一緒の場面は疑問です。
誰よりも職員の気質もわかっているでしょうから、その際は、
いわゆる根回しが必要になるでしょう、これは所長の判断。
事前に話したら職員の大反対に会い、涙を飲んだ先生もいました。
ですから、契約が終わってから説明する先生も、もちろんいます。
しかし、それでも職員が賛成せず、辞められない気の毒な先生もいます。
職員の声に耳を貸さず、契約を終え、承継を終えて、資格返上した先生も。
この先生の後を継いだ先生は、大変苦労しましたが、無事承継終了。
職員も辞める人もなく、承継から5年過ぎ、職員も増え、大成長!
経営者のご苦労が見事花開いた例ですが、説明の後先は問題なし。
やはり、案ずるより産むが易し、ですかね。
事業承継支援室長
大滝二三男