この夏の話、事業承継の話を進めている折に、最古参の職員が友人を助けるとの理由で辞職。
夏のボーナス支給後に30代前半の男子職員が、税理士試験勉強を理由に辞めたばかり。
若手職員の辞職は以前から申し出あったので、補充の準備は整え、職安にも依頼済み。
しかし、番頭さんともいわれるキャリアの50代の職員の離職は、想定外だった。
事業承継後の引継ぎなどの実務を考えると、番頭さんの辞職は大いなる痛手。
引き受けての税理士法人と相談し、引き留めに苦労し、事業承継の後に辞めると方針変更。
ところが、いざ事業承継日となったその日に、辞表を持ってきた。「やはり、友人会社に行きます」
所長税理士も引き止める気力もなくなり、引き受けても了承し、また一人去って行った。
いわば、仕事をできる職員2名がいなくなった新事務所(法人)では、急ごしらえでスタート。
それにも増して、引き受けての法人を驚かされたのが、譲り渡した先生が一切引継ぎをしないこと。
実際は、引継ぎをしないのではなく、長年職員任せで、引継ぎができないことが判明。
顧問先との交流が先生にはほとんどなく、担当者しか関与先の担当者も知らない状況だった。
実際に残っている職員は入所後数年の男子2名と、入力を専門とする女性職員3名だけ。
顧問先との交渉ごともできないメンバーのみが残っていたという、悲惨な状態。
仲介した弊社もこの事態には唖然としてが、引き受けた法人が懸命に顧客を維持。
当初は契約解除などは想定内に収まっていたのだが、数か月前に大変なことが判明。
「○○さんがうちに営業に来たよ」と、顧問先の社長から連絡。
番頭さんが友人の会社ではなく、他の税理士事務所に移ったことが明らかになった。
その結果、この間に若手職員と番頭さんが担当していた顧客が、契約破棄。
実に2千万円に及ぶ売り上げが、すっ飛んでしまった。
このケースでは明らかに引き継ぎ業務が十分にできなかったことから、契約金を大幅引き下げ。
引退した税理士さんもなくに泣けない状態だったが、これも反省なき先生が一番の原因。
ちなみに番頭さんの給与は、年額400万円に満たないという悲惨の状態でした。
その一方で、先生の所得は4000万円弱。これでは裏切られてもしょうがないですよね。
事業承継支援室長
大滝二三男