今や、税理士資格をとるとるための大学院に進むのは当たり前。
会計・税務のそれぞれ一科目に合格すれば、一直線に大学院を目指すのも少なくない。
税法の一科目がそうしても取れないと悩むより、二年間大学院で勉強したほうが近道。
しかし、どうしても負い目を感じるのだが、顧問先の社長さんは税理士になった過程は聞きもしない。
”先生”であることには変わりがないので、しっかり仕事をしてくれれば、何ら問題なし。
大学院を修了して資格を得た人を”免除組”と呼ぶのだが、業務ができれば誰も気にしない。
もちろん、五科目の試験に合格した先生たちは”試験組”と自らの称して、ちょっぴり”優越感”に浸る。
でも、税務の仕事に問題がなければ、だれもこの区別を問題視することはない。
もう7年ほど前になろうか、会計と税務のダブルマスターを終えた人には論文審査のみで資格が与えられた。
でも、現在は会計と税務のそれぞれ一科目を試験合格しなければ、大学院を修了しても資格はなし。
言わずもがなことを書いてきましたが、最近の問題は、大学院修了組の就職先がないこと。
税理士事務所に勤めながら、税理士試験を受け、残り数科目という人は問題なし。
というのも、勤務先が大学院に行くことを了承し、資格取得後も勤務を続けることを約束しているケース。
2年間も大学院(スクーリングだけのところもあるが)の授業料を補助する事務所も。
資格を取得して、それらの温情を無視して、「はい、サヨナラよ」とはならないのが、普通。
ところが、最近相談に来られるのが、大学院は終了し、実務経験を重ねたいのだが、就職先がない。
それを言ってくるのが、税理士である、その大学院修了者の親。
大学院を修了して、税理士登録ができるようになるためには、実務経験が2年以上なければいけない。
しかし、自分事務所に置いて置くだけの余裕がないという税理士は、ほかの事務所に勤めさせる。
ところが、実務経験のない大学院修了者を雇い、一から教えるだけの余裕のある事務所もない。
即戦力であれば、資格は必要なし。返って、資格があった方が面倒臭いという。
実力もないのに資格をひけらかす若者も少なくないので、経営者としては「そんな人は、使えません!」
しかも、実力をつけてきたときには、「独立します!」では、踏んだり蹴ったり。
時には自分が担当していた顧客を持っていってしまうこともあり、こんな人材は願い下げ。
息子さんを免除組にした場合には、どうか実務の2年間はご自身で養成するのが一番でしょう。
それにしても、子離れができない税理士さんも、このところだいぶ増えてきましたね。
もっとも、家業と決めている税理士さんがほとんどですから、当然と言えば当然ですね。
事業承継支援室長
大滝二三男