事業承継の仲介をするなかで、引き受け手が重視することがある。
売り上げや職員構成などは当然として、顧客の状況をチェックすること。
赤字企業が75%にもなるので、赤字かどうかはまず問題なし。
ただし、黒字を赤字とする、所得隠しは当然ご法度。
そこで、各顧客の税に対する考え、脱税指向があれば、これも受け付けない。
事前に契約を解除して欲しいというのは、ほぼ全引き受け手の対応。
もうひとつが、粉飾の問題。
かつてのように、赤字企業は公共事業の入札には参加できなかった。
それが今はある程度緩和されているので、粉飾する必要も少なくなった。
とはいうものの、金融機関のチェックは厳しく、赤字企業には融資しない。
制度融資を受けられない中小零細企業は、なんとか黒字にと税理士に依頼。
長年顧問を勤めてきた税理士も、お客さんがつぶれるのは忍びない。
そう考えるか、それともお客を繋ぎ止めたいと考えたのか。
その理由は様々なだろうが、一度粉飾決算を組むを、やめられない。
黒字企業が、ある日突然赤字に転落。金融機関も大慌て。
資金回収に動かれたら。本当に企業はつぶれてしまう。
そんななかで、「粉飾しなけりゃ、うちのお客はつぶれちゃう」
なんと?これはある所長の言葉。
そう、その所長さん、今は業務停止の処分に。
それだけに事業承継の引き受け手としては、そんなお客を受けたくない。
なかには、決算は組むが、申告書当の署名はしないと断る人も。
いずれにしても、脱税、粉飾指向の顧客は、税理士には受けられない。
事業承継支援室長
大滝二三男