ここにきて、金融機関の紹介で事業承継の相手を紹介してもらったが、何もしてくれない。
こんな連絡がありました。
譲渡希望の税理士が、取引のある銀行に話を持って行ったのでしょう。
銀行の関連会社でM&Aを扱う企業があります。
でも、税理士事務所の事業承継を扱ったことのある企業はありません。
通常の企業のM&Aに比較して、税理士事務所のM&の手数料は低すぎます。
企業の規模からいっても、税理士事務所のM&Aは銀行(金融機関)が扱う事案ではありません。
とはいうものの、取引先の税理士事務所から、譲渡先を見つけてほしいと言われれば、動きます。
しかし、税理士事務所のデューデリをするとしたら、銀行はどうするのでしょう。
高い報酬を払って、監査法人等に依頼するでしょうか?
聞いたこともありません。
先日も、銀行の紹介で相手を探してもらったという税理士から話を聞きました。
「当事務所のことより、買い方の方に目が行って言いました」
「こちらの言い分より、承継先に耳を傾けていました。気分は非常に悪いです」
なんでこんなことをするのでしょう。
譲り渡す税理士さんは一生一度のこと。
そのお手伝いをする銀行が承継者の味方では、何を言わんです。
そうですね。金融機関の職員にとってみれば、税理士事務所は決していいお客ではありません。
お金を借りてくれることはほとんどなく、顧問先の借金のサポートで、厄介な先生。
でも、そんな先生たちが頑張っているからこそ、金融機関もお金の行く先を見ていられるのだ。
とはいえ、中小零細企業を守る税理士にとって、地域の金融機関は重要なパートナー。
お金にならなくとも、金融機関の情報網に、税理士が引っかかっていればいいなと思います。
事業承継支援室長
大滝二三男