先生は80歳を超える高齢者。長年の税理士事務所経営で、資産は十分蓄えている。
そんな事務所で、これまた仕えてきた税理士資格取得者に提案された譲渡価格でびっくり。
提示された金額が、なんとすべての年間売り上げの2年分というのです。
これは、支援室ではどんな基準で、事務所の評価をするのかという、緊急の連絡でした。
お聞きしてみると、長年安月給で仕えてきたが、税理士資格にも目途が立ち、そこで出た話です。
お客さんも自分が独立する時には多分ついてきてくれるだろうが、やはり先生の了解が必要。
そうこう考えていた折に、所長から事務所譲渡の提案があった。
その提案が、上記のとおり売り上げの2年分。しかも、3年分で譲渡した人もいたというのだ。
どこでそんな話が出ているのだろうと、当支援室でも参考にしたいところだが、有り得ない話。
10年以上前であれば、年収の2年分で契約されたこ事例も知っているが、今は時代が違う。
税理士業界自体が不況業種と言われるほどに、資格があれば食っていける時代ではない。
そんな状況で、年商の2年分を払ってまでも事務所を引き継ぐ職員などいるはずもない。
当然、コストも分かり、ほぼ収益構造も分かっている中で、このような要求には応ずるわけにもいかない。
10年先までと投下資金を回収することができないのでは、事業として見通しは立たない。
なぜ80歳を超えた税理士、しかも資産を十分蓄えた人が、そのような法外な要求を出すのだろうか。
ご自身のこれまでの実績を認めるべきだというのだろうか?
それにしても、職員にそれだけの要求に応えることができるほどの給与を払ってきたのだろうか?
答えはノーである。今回、連絡してきた方の評表現を借りれば、「さんざん安月給で雇いながら」である。
もっとも、日本人は死ぬ時に一番お金を持っているという。だが、使ってこそのお金。
80歳を超え、借金がなければ使うところなど、そんなにないはず。それでも、お金に執着が??
とにかくわかりません。長年使ってきた職員に出せないお金を要求するその心根が。
これは、本日実際に会った電話相談でしたが、何やら世間知らずも甚だしい話ですね。
事業承継支援室長
大滝二三男