税理士が、事業承継をして廃業します。
しかし、廃業前の顧客の税務調査は承継後も続きます。
承継した税理士が税務調査には立ち会います。
その際、承継前の税理士の判断が間違っていて、修正申告を慫慂されたりします。
結果的に、承継前の税理士の判断が誤りで、顧問先に損害を与える結果になった場合の処理です。
明らかに税理士の判断に誤りがあり、その損害を賠償しなければなりません。
この場合の賠償責任は当然、承継前の税理士になります。
損害賠償責任保険を購入し、その賠償保険の適用を受けられれば、金銭を出す必要はなくなります。
しかし、その対象外であれば、当然、元税理士であっても賠償責任は果たさなければいけません。
金額によっては、承継の対価よりも数倍の金額を要求されることもあります。
そのような金額を要求されるのは、ほとんどが相続案件に絡んだものです。
ですから、相続案件にはタッチせず、専門の税理士に案件処理をお願いする税理士も多い。
相続税の申告などのスポット案件は、手数料も多額になります。
その反面、受託した税理士が評価や相続財産などのチェックに間違いがあれば、これは大変。
しかも、相続人にも相続財産を知らせていない被相続人の場合などは、税理士も注意が必要です。
最近の裁判でも、税理士として相続財産の内容を相続人が言うがままに申告した例があります。
顧問税理士として、長年確定申告などを行っていたのだから、資産内容も把握しているはず。
それなのに、相続人情報だけに頼った結果、相続財産を除外する結果になったのは、税理士の責任。
このように、損害賠償責任はその事件の担当者責任が問われることになります。
ですから、事業承継後に起こった損害賠償事案については、承継前の先生の責任となります。
でも、税理士賠償責任保険の適用を受けられるか否かは、廃業後も数年間は保険効力があります。
この点も十分チェックが必要ですね。
事業承継支援室長
大滝二三男
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