税理士事務所の経営を他人(税理士法人)に任せるにしても、顧問料の未収が気になります。
通常、顧問料の請求は毎月末に請求するケースが普通です。
なかには自動振替制度を導入し、月初めの請求で毎月25日に入金ということもあります。
しかし、請求書は毎月発送しながら、集金は顧問先に一時に現金でもらうケースも多い。
この場合、税理士事務所の担当者が気の弱い人だと、顧問料のことを言い出せないこともある。
なかには、請求書自体を発行せずに、担当者が直接請求し、その場で集金といった場合もある。
こうなると、1月が2月、さらに3月分と請求せずに顧問料が貯まってしまうことも出てくる。
時には、景気が悪いので、少し待った欲しいという良い訳から、半年さらに1年分が未収になる。
税理士自らが集金に乗り出すまで、たまりにたまって数年分ということにも。
こうなるとまとめて集金出来ず、最終的には貸し倒れ処理をして、顧問契約を解消となる。
こんな経験をしていない税理士は多分ないだろうし、誰もが経験する話。
そこで早目に未収金を回収するにしても、事業承継となると、その債務はどうなるのか。
承継日が決まって、新しい事務所が業務を開始しても、お客さんは前の事務所の未払い金を払う。
事務所が新しくなってもお客さんには関係のない話で、遅れている顧問料は一月分を払うのみ。
その顧問料が3か月前のであれば、新しい事務所の入金は仕事を始めて3か月後となる。
これでは、3か月分の顧問料が常に3月遅れとなるだけに、当初の3か月はただ働き状態。
それを解消するには、前の事務所が遅れている顧問料を債権放棄するのが一番手っ取り早い。
しかし、顧問料が遅れることは両者で分かっていることだけに、両者一両損での処理も必要。
余程大きな金額でなければ、未収金は承継の対価に含めて支払うことで了解ができる。
ここで両者の同意ができないと、破談になるケースも出てくるのだが、多くが妥協点を見つける。
それはケース・バイ・ケースであり、発生主義でなく、現金主義で解決するのもその一つ。
交渉過程では、この問題はかなり悩ましい話。でも、双方が歩み寄らなければ、話は没になってしまう。
最終的には、細かいことはどうでもいいでしょう、といった日本的解決法が行われる。
本日も、事業承継後一年を経過した譲り手の先生か「すべてうまく行ってます」との電話連絡。
このケースでも、実は未収金の問題でかなりギクシャクしたが、時間が見事解決してくれています。
事業承継支援室長
大滝二三男