企業経営にとって、組織を維持することは当然ですが、はたして創業者の考えはどうでしょう。
世界的な企業になったユニクロも、創業者である柳井氏が社長に復帰しました。
というより、彼が社長に復帰して、世界的な企業になったというのが正解でしょう。
日本の家電販売でナンバーワンとなったヤマダ電機も、数か月前に会長が社長に復帰しました。
ナンバー2に経営を任せた結果、思うような収益を上げることができなくなったのが、その理由です。
これを税理士事務所の当てはめるには、あまりにも規模が違い過ぎて、適当ではないかもしれません。
しかし、創業者は営業をしてきました。誰にも負けず、営業に苦労し、事務所を大きくしてきました。
結果として、事務所を拡大したが、事業の性格上、その結果収益が拡大するとは限りません。
事業を拡大することで、職員も増やさなければいけません。これこそ、労働集約型の宿命です。
人を増やしたからと言って、効率が上がるなどと考えてはいけません。
あくまでも、それぞれの職員の能力とその仕事を以下の効率よく進められるか、この点につきます。
いつも残業をして、熱心に仕事に取り組んでいると見るのか、仕事が遅いという見方もあります。
組織として事務所を動かしている際には、やはり仕事の遅い人にはそれなりの評価が下ります。
そんな人材に面と向かってものを言えるのが、所長以外にいたらどうでしょう。
所長さんは大助かりでしょう。でも、そのナンバー2が自分の立場だけを考えていたらどうでしょう。
組織論ではなく、自分の保身のために職員に対応していたら、所長の立場はなくなります。
同時に、この際のナンバー2は、資格者である、つまり勤務税理士を念頭に置いています。
資格がない番頭さんでは、このような対応はなかなかできません。というより、しません。
ですから、組織論を展開できない所長さんでは、ナンバー2を育てることは無理です。
そのナンバー2が事務所を分裂するほどに、顧問先を持って独立した例は枚挙がありません。
こんな例を見てきた先生たちは、顧客を持って独立するかもしれない税理士を育てません。
当然といえば当然です。
しかし、もう一人で税理士事務所を運営する時代ではありません。
組織的な対応ができない税理士事務所の寿命は見えています。
ですから、もうナンバー2はいらないなどと考えていては、組織は大きくならないでしょう。
これから数年後、税理士業界はどのようになっているのでしょうか。楽しみですね。
事業承継支援室長
大滝二三男