税理士事務所には営業権は認められていない。
したがって、事業承継の対価は、顧客の紹介手数料として、雑所得の対象となっている。
41年前に広島国税局から国税庁に問い合わせがあった、その回答が今でも活きている。
当時の税理士事務所の承継は、顧客の紹介程度にとどまっていたケースが多いと聞く。
現在は税理士法人が職員も雇用し、事務所もそのまま賃貸する格好で承継することが多い。
言ってみれば、営業の姿そのままに、事業を承継するので、単純に雑所得するには無理がある。
そう主張する税理士さんからの異議申し立てや不服審判所への申し立てなども相次いで知る。
しかも、契約時に、承継の対価を確定せずに、1~2年間の引継ぎ状況に応じて、金額を確定することも。
このような場合には、仮の金額を決め、まずその一部を収受し、一年後に確定を見る。
こうなると、雑所得であれならば、受取時期に確定すると考えることもできる。
契約上の案文を判断することになると思われるが、はたしていかがなものか?
または、仮の対価で申告をし、1年後にその金額が減額された場合、更正の請求をすることになるのか?
税務当局ににらまれないようにと、仮の契約金額で申告するケースもあるようだ。
それにしても、この雑所得の扱いは何とかならないのだろうか?
この扱いを嫌って、税理士法人を設立し、その後に税理士法人ごと売却することも出ている。
この場合には、当然法人のM&Aだから、社員税理士の出資金で評価し、譲渡扱いになるのだろう。
とにかく件数がかなりの規模で増えているので、この取り扱いの評価はまだまだ話題を呼びそうだ。
事業承継支援室長
大滝二三男