環境会計が言われるようになって、20年近くなります。
環境問題に関心を持った税理士さんたちが、環境会計に疑問を持ち出したのも10数年前です。
上場企業は、IRの中で環境会計という表現で、いかに環境に関して貢献しているかを表現してきました。
しかし、これはあくまでも、環境に寄与したとして、CO2の削減などを数値であらわしたもの。
一般の財務会計の中では、ほとんど評価はされず、上場企業では、株価に影響するものではありません。
それでもなお、上場企業が環境に関する数値をIRなどで公表しているのは、なぜでしょう。
ほとんどの株主は、環境に関する貢献度は見向きもしません。そのコストさえ、顔をしかめます。
企業が経済活動をする中で、いかに自然資源に対する”障害”を引き起こしているのか、その認知です。
上場企業の多くは、世界的に企業ほどIRで、環境貢献を主張しますから、障害になることに敏感です。
今回のTPPを主宰している米国などは、ほとんど環境問題では、”後進国”です。
しかし、彼らが一度でも環境問題を主張し始めると、TPPでも、問題視するはずです。
自国の企業がほとんど自然環境の維持に寄与していないにも拘わる、他国の企業にはそれを求めます。
京都議定書も承認しなかったアメリカですが、自国の有利になることはきっと主張するはずです。
米国でも環境会計という分野はありますが、あまり重要視していません。
でも、そんな国が国際会計基準のなかに環境会計を入れれば、鬼の首を取ったように主張します。
幸いにして、この環境会計は国内では具体的な法的規制はありません。
ここ数年で、大企業を中心に調査が行われましたが、売上高1兆円を超える企業でも採用していません。
でも、海外でっ製造業を展開している企業は、海外の工場を含めた、その実情を報告すべきです。
例えば、中国に進出している日本の大企業が果たして、国内と同じ環境規制の中で創業していますか?
黄砂だ、PM2.5だと叫ぶ前に、中国に進出している企業を、調査すべきでしょう。
環境会計がしっかりしていれば、こんな事態は避けられたはず。まさに失われた20年ですね。
でも、環境会計を税理士事務所のお客さんに求めるつもりはありません。
ただ、その基本的な考え方を分かってほしいのです。これからの会計事務所経営者には!!
またまた、事業承継に無縁の話でした。次週からは事例を含めてしっかりお話ししましょう。
事業承継支援室長
大滝二三男