事業承継のお手伝いをしていると、こんな声を聴くことがあります。
でも、そんなお金を最初に払うのがいいのでしょうか?
情報の提供がないままに、預り金という名目のようですが、払う方が甘いのではありませんか。
とにかく税理士さんは、30万円や50万円というお金を平気で、支払います。
それも、会員になって、会費50万円を払えば、顧問先の紹介をします、というの甘言にのって。
開業して1年も経たない若い税理士さんが相談にきました。
「客を紹介するからというので、会員になりましたが、紹介される顧問先の顧問料は月額9800円」
しかも、すべての客が記帳代行込の値段。その総収入予定が、年間370万円。
これでは、職員を雇えませんので、税理士自らがパソコン相手の記帳代行をやらざるを得ません。
結果、採算が取れないという結論に達し、自らが顧客を抱えてまま、事業承継に。
勤務税理士に逆戻りです。自らの営業努力が足りないことも、もちろんあります。
しかし、顧客紹介業者の口車に乗ってしまったことも事実であり、これからもこんな人は出てくるでしょう。
アベノミクスと浮かれ、土台を気付けないうちに独立し、一人悩む税理士も出てくるでしょう。
これも、しっかりと情報収集をしない、資格ビジネスの盲点かもしれません。
税理士であれば、顧客は獲得できるはず、なんて甘く考え、その上、顧客紹介業者のいい餌食に。
先だっても、顧客の現象で赤字経営をしている税理士さんの相談にのりました。
収益以上のコストのかかる職員さんを抱え、自らの年金も事業に提供しているというのです。
通常は、収益が出なくなった税理士さんは職員を減らします。
職員の抵抗が他の業種のようには強くありません。というのも、赤字が目に見えますから、”納得”します。
この先生、自ら顧客を開拓するというよりも、紹介業者任せの営業に終始。
紹介される中小企業も、顧問料を応分に払うような顧客は紹介されません。低額顧問料が普通。
このような顧問先を紹介されても、下手をすると、3か月、半年で、グットバイ。
顧問料が安いという理由だけで、業者に税理士を紹介されているので、気に食わないとすぐに契約解除。
顧問契約が半年を過ぎた時点で、紹介料は一切返金なし。これでは、赤字は埋まりません。
そんな業者に頼っていたのでは、優良顧客を手に入れることはほとんどできない。
それを知りながら、営業努力ができなくなっても、事務所を維持しなければならないという思いだけ。
結果は、誰もが予想する通り、事務所の衰退、右肩下がりの経営が続きます。
顧問先紹介業者と手を切り、自らが営業するしか、常道はないでしょう。
とは言いものの、「分かっちゃいるけど、辞められない」ですかね。
きっぱり、手を切ると同時に、ハッピーリタイアをしたほうが良いのかもしれませんね。
アベノミクスも税理士業界を救ってくれないと思いますので、いかがでしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男