ご自身が試験に受かったんだから、子供も同じように受かるだろう。
こんな感じで、お子さんの受験対応を見ている税理士さんが少なくない。
会計2科目に合格したのだから、税法もここ数年で合格できるに違いない。
親の欲目で、そんな予想を立てているのだが、なかなか合格の両方に出会わない。
そうこうしているうちに、実務が忙しくなって、勉強どころではなくなってきた。
親の年代であれば、仕事を終えた後、試験勉強に精を出すのが当たり前。
勉強を続けるのに、今ほどの誘いはない。
今は受験勉強をしていても、PCやモバイルから友人が誘いをかけてくることも少なくない。
実に簡単にコミニュケーションができる時代、一人勉強をするということにはあまりに多い誘惑。
それでも、毎年1000人近くの人が合格をするのだが、合格者の平均年齢は20代。
親が経営する税理士事務所に席を置き、勉強させてもらえる子弟の合格率は極めて低い。
それというのも、親が稼いだ資金で予備校に通う子弟には、親の時代とは思いが違う。
親はいかにして税理士試験の合格して、生活の糧を手にするかということで必死だった。
それに比較して、自らの親が経営する税理士事務所の職員として、受験勉強に精を出すのは??
親である税理士さんは、「今予備校に行っていますが、数年後にはとってくれるでしょう?」
単純にこんな会話となるが、大学を卒業して、十数年の若者だったお子さんが、果たして??
しかも、40代になっても簿記、財諸も受からない。こうなると親である税理士は引導を渡す義務が。
お子さんも40代に突入していれば、もう探せる仕事もほとんどないに等しいでしょう。
親の事務所の会計業務をしっかりと管理し、税務は父親の仕事と割り切っていられればいいのだが。
日頃から甘いことを言いつ続けた先生には、はっきりと言えないだろう。
それだけに、歳になったから、辞めようと考えても、辞められなくっている。
しかし、子供を身近に置いて置きたいなんて考える方が、時代が許さない。
甘えがお子さんを悪くしているのではなく、子離れができない人ほど、辞めるに辞められなくなっているようだ。
事業承継支援室長
大滝二三男