税理士事務所の経営者である税理士さんが、仕事をできなくなったとき、その責任は?
経営者としては、自らの責任で職員を解雇するなりして、税理士事務所を閉鎖するでしょう。
でも、その日から職員たちの生活が、危機に瀕します。
現状では、新たな雇用先を見つけるのはかなり難しいことは明らかです。
先生が60歳以上で、独立後30年を経過していれば、資産もそれなりに蓄えているはず。
しかし、職員は一般的に税理士事務所の給与は安いので、子育て世代であれば、もう大変。
自分たちの立場を考えると、税務会計業務に精通しているので、自分たちで十分こなせるとの判断も。
積極的な人たちは、自らの生活も考え、税理士なしの業務を展開することを考える。
これは当然税理士法に違反するのだが、抜け穴はある。
税務署OBなどで、高齢になった税理士に名前を借り、署名捺印も代行する。いわゆる名義貸し。
20年以上、某計算センター名で記帳代行を請負い、その実態は税務申告書の作成・代行も行う。
数年前にその代表者の息子が税理士資格を取得し、やっと他人の名義を借りなくてよくなった。
とはいうものの、この記帳代行会社の責任者(76歳)は申告書の名義が息子に代わっただけ。
実際の金銭の授受は親父で、過去にニセ税理士をやっていた人。
自分が資格を取れなくて、息子に期待をかけ、それが”見事”に実現した”幸せ者”。
しかし、現状でもその経営には疑問が残る。経営の主体があくまでも元ニセ税理士のまま。
ここまで来ると、もう辞められないのでしょう。顧問先からは現在でも”先生”と呼ばれている。
息子さんが立派に税理士資格を取り、事務所も経営もしているのだから、事業承継しても良さそう。
でも、なかなか社長はを止められないのでしょうね。引き際は本当に難しい。
事業承継支援室長
大滝二三男