所長が引退し、事務所経営者が代わるとき、誰が一番反対するでしょう。
答えは、まずは家族、そして職員。
家族は所長がが説得しますから、一度腹を決めたらまず反対しません。
反対を表明するのは、ほとんどが職員。それも長く勤めている職員が手を挙げます。
数人に事務所であれば、筆頭格の職員が音頭を取ります。
「先生、今のままで良いじゃないですか?先生にはのんびりしていただきますので(?)」
引退を考える先生の事務所では、おそらく職員任せで、日頃の業務が進行しているのでしょう。
番頭さんが、一切の業務を掌握し、先生の不在中でも業務は滞りなく、処理されています。
もちろん、資格のない職員が署名捺印できませんから、最終責任は先生の判となります。
昨今は、電子申告も進んでいますので、先生のIDがあれば、申告も署名押印なしで済んでしまいます。
所長先生がチェックをしたものを、先生の指示で、電子的に送付されれば、問題なし。
そんなすべての業務ができてしまう職員ですので、経営者が代わるとなると、大事です。
これまでの所長との関係も、新しい経営者とではどのようになるのか不安で一杯です。
できれば所長に辞めて欲しくない。そう考えるのは当然でしょう。
所長が引退し、新しい所長が果たして雇用を守れるかも、最大の不安のたね。
所長さんが雇用は守られ、給与も従来通りという約束になっていると言っても、心落ち着きません。
当然と言えば当然ですが、そこは引退する所長さんは、鬼になって話すしかないでしょう。
説得できなければ、承継話もストップしてしまいます。引退もできなくなります。
かつて、83歳の先生が引退を表明すると、職員があと3年はがんばってくださいと引き留めたことがあります。
先生は「あと3年か、仕様がない」と言って、引退を3年延ばしたことがあります。
幸い先生はその3年後に、職員の方が病に倒れ、事務所の機能しなくなり、承継を完了しました。
もしその職員が元気だったら、引退話は引き延ばされていたのではないでしょうか。
とにかく、職員は自分たちだけで事務所を経営することはできませんので、受け入れざるを得ません。
でも最後まで反対を言う、現状維持を訴えるのは職員であることを十分覚悟しておくべきです。
そのための説得工作、根回しをしっかりした先生は思い通りに引退の花道を歩いて行きます。
事業承継支援室長
大滝二三男
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