7年ぶりに国税OBの税理士さんに電車のプラットフォームでお会いした。
都内の税務署長を最後に税理士になったのが58歳。22年後の今、80歳になろうとしているのだが、元気に毎日事務所に出勤しているという。
「それにしても昔は良かった」と言うのが、挨拶後の一言。聞いてみると、税理士として顧問を始めたときには元気だった社長さんたちが次々に交代。
それに伴い、社長も若く「情がなくなったんだね。顧問料を払っているから、お歳暮なんてとんでもないということですよ。ドライなんだねぇ」と言う”愚痴”が出た。めっきり減ったお歳暮に寂しさがにじむ。
高度経済成長時期に税務職員として第一線で働き、バブルの絶頂期で退職。税理士に就任時にはたんまりと顧問先を斡旋された幸せな世代。そんなOB税理士にも今は北風が吹く。
もちろん、この20年間、ご本人は”おいしいもの”を腹いっぱい食べてきただけに、今の時代との格差をいやっというほど味わっているようで、ついつい愚痴になって出てくる。
とはいっても、昨年から顧問先を税務署が斡旋を行うことが禁止されたため、後輩たちは”天下る”こともできず、税務署長を1年で辞めるところが、さらに1年勤め上げ、60歳で定年となる。
でも、税務署長はまだまし。特別調査官クラスで退職となると、顧問先の斡旋はもちろんないから、60歳で定年後、税理士を開業してもお客さんはほとんどなし。開店休業が普通。
なかには、定年後、税務署に嘱託として採用され、元部下の下で税務調査を担当している人たちもいるという。「仕事になるのかな?」と元署長殿。「生涯現役ですね」と尋ねると、「もう辞めたいよ」。本当ですかね、信じられません。
こんな会話をしているうちに、電車が先生の下車駅に到着。「寒いですから、お体を大切に!」と電車の中から挨拶をしたが、手厚い年金生活を送ることのできる元税務署員でも、やはり、”生涯現役”なのだろうなと一人合点した次第。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。