毎年この時期になると。国税庁のサイトで、官報に掲載された税理士に対する懲罰が掲載されます。
税理士業務の停止と禁止が主な処分ですが、当支援室にご相談があった方が乗っていることもあります。
数年前にも、息子が資格がないので、事業承継をしたいという方からご相談を受けました。
しかし、よく聞いてみると、ご本人が引退するようなことではなく、税理士を探そうという雰囲気。
ご自身が税理士なのだから、税理士は必要ないのではと思いながらも、話を聞いていた。
結果は、当方が支援できるような体制ではないので、お断りしたが、実はその数か月後に”禁止”の処分。
国税当局から、禁止の処分が行われると、税理士としての業務は一切できません。
いわゆる、税理士資格の剥奪です。
資格がなければ、税理士としての業務はできませんから、税理士事務所は閉鎖するしかありません。
従業員も路頭に迷うことになります。
しかし、税理士でなくても、その周辺業務の会計業務はできます。
税理士は税に関する業務に限られていますから、その前提の会計業務には、縛りはありません。
ですから、税理士として違反し、税理士資格をはく奪されても、会計業務はできます。
税理士の顧客としても、税理士かどうかなどは問題にしません。会計・税務ができればそれでオーケー。
そこがミソ。税務は税理士が担当していると言えば、顧客は文句を言いません。
そこで問題です。
税理士として、資格をはく奪された人が、税理士業務の周辺で業務を行っているでしょうか?
しかも、税理士法人の役員として、経営の参画しているでしょうか?
税理士法人の中で、税理士資格を剥奪された人が、会計業務で役員などを務めているケースはあります。
これは、誰も文句を言うことはできません。
税理士法人の創立者が、”勢い余った”国税当局のチェックで、資格禁止になってしまった。
当然、”禁止”になったのですから、税務はできません。
顧問先が、税務よりも経営の指南役として、評価をしていれば、顧問関係は継続できます。
そのような専門家ほど、期待されるわけですから、資格はともかく、信頼関係の継続こそ力になります。
でも、税理士法人などの役員にはなれませんので、その辺の組織は十分にチェックが必要でしょう。
事業承継支援室長
大滝二三男