インターネットを利用して、税理士事務所の顧客獲得戦略を行っているところが少なくない。
紹介業を兼ねた税理士法人も月額9800円とか、新設法人費用ゼロ円などとPR。
このような波に同調して、新設間もない税理士が、極少額の顧問料で顧客を獲得。
顧客となった新設法人などのほとんどが、経理の職員はいないため、記帳代行が主力に。
毎月領収書などが送られてくる税理士事務所で、この業務を行うのが、なんと税理士自身。
職員を雇えるほど収入がないため、やむを得ず、自分でやらざるを得ない。
毎日、パソコン相手にキーボードを打ち続けるわけだから、それ以外のサービス業務には手が出ない。
こうなると、高額な顧問料を受け取れるような顧問先と出会うこともできなくなる、悪循環に陥る。
年収も300万円クラスとなり、家族持ちでは到底暮らせない。妻帯者はもちろん共稼ぎ。
夢があるから、奥さんも協力するが、子供を作るとなると話は別。共働きをしながらでは、奥さんも大変。
勤務税理士の時は、それでも500万円~600万円の年収があったし、経費も会社もち。
普通のサラリーマンとして、厳しいながらも、子育てのできる収入を手にすることができていた。
独立したら、年収300万円で、事務所も借り、経費はすべて自分持ち、これではやっていけません。
お客さんを勤務時代に獲得し、それに応じて独立したのであれば、いいのだが、ゼロからのスタートはきつい。
そんな時代になってしまった現在だが、これからも同様に顧客が少ない、しかも安い顧問料の時代が続く。
30数年前に独立した税理士さんの話では、顧問料一社で3万円あれば、それで職員を雇えたという。
しかし今は一人の職員を雇うのに、月に30万円は必要。これだけで年収(年商)をオーバーしてしまう。
答えは、勤務税理士の方がいい仕事ができ、そして年収も多い。家庭も円満。
そんな時代ですから、一からの独立よりも事業承継でしょう。
でも、事業承継にはそれなりのお金も必要、そして信用問題もありますから、そう簡単ではありません。
やはり、そこそこ勤務を続けて、先生の”後継者指名”を受けられるようにする時代かもしれません。
事業承継支援室長
大滝二三男