会計事務所の事業承継のお手伝いを始めて5年を経過し、最近会計事務所経営にも地方の特色があることに気づかされました。
ある地方の話。事務所は先生のお歳と病気のため、さらに同業者からの営業攻勢で年々、顧問先も減り、従業員の給与を支払うにも青息吐息。
ご相談を受けて事務所にお伺いすると、顧問先の数はめっきり少なくなり、仕事がないのに30代後半と20代後半の男子従業員2名を雇用。
彼らは今も税理士試験を目指して勉強にも励んでいるとのことだが、確定申告シーズンでも残業なし、普段は午前中で業務は終了し、午後は受験勉強とか。
さすがに給与は世間に比較して1~2割安いのは当然のことだが、一人でも十分で、若い職員には他の事務所に行くように勧めたらどうかと話を向けると、
「この地域ではリストラはご法度なんです。辞めさせた、となると、終生人非人のように言われますから、それはできません」との返事。
これにはあきれるばかりで、毎年百万円近くの自己資金を食い唾しているという。残念ながらこの先生の事務所の承継には手を挙げてもらえませんでした。
こちらもある地方の税理士会支部からの電話。「会計事務所の承継はわれわれ税理士会の役員がやっているから、余計なことをするな!!」
この電話に、独特の方言が耳に残り、併せて、ずいぶん自信に満ちたことを言うもんだと感心もした。でも、その地域から要請がすぐに来たときは笑えました。
もっとも、税理士会の各支部でしっかり事業承継のお手伝いを明朗な形で行っていらっしゃることにはわれわれも一切批判をするものではありません。
なかには税理士会にほとんど顔を出さない先生方もいらっしゃいますから、その先生がなくなったとき、遺族は支部ではなく、弊社に相談にくることあります。
それにしてもまさに”邪魔をするな”といった意味の電話なり、メールが届いたのはその一件だけであったことを付け加えておきます。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。