金融円滑法によって、何とか経営を続けてきた企業が、行き詰ってきているのが、税理士の顧問先状況から明らかになってきている。
この金融円滑化法によって、借金の返済猶予を金融機関に求める中小企業は、後を絶たなかった。
金融機関は返済を繰り延べし、返済不能になっても、信用保証協会が肩代わりしてくれるから、損害はない。
その保証があるので、金融機関は気前よく、返済猶予を認めた。しかし、新規の融資には応じなかった。
その結果、売り上げの減少に苦しんでいた企業は、経営者自らの私的な借金等でその場しのぎをしていた。
そんな実情を知っていたのが、顧問税理士。顧問先に企業に廃業を勧めることもできなかった。
当支援室に廃業を決め、事業承継の仲介を依頼する小規模税理士事務所の経営状況からも、企業の衰退ぶりが分かる。
税理士が若い間は営業などに力を入れるので、顧客が減っても、元に戻る力はある。
しかし、高齢化した事務所経営者には、もうその気力がない。
顧客も同じような傾向になるが、企業経営者はそう簡単に廃業という道を選ばない。
資金繰りができているうちは、企業活動を継続する傾向が強い。
今回の金融円滑化法は、このような企業には非常に甘い”誘惑”となり、”麻薬”を使ってしまったわけだ。
売上が上がっているわけでもないので、借金を返済する能力が挙がったわけではないので、終は行き詰る。
そんな企業が顧問先からなくなって行く。小さな税理士事務所ほど、その傾向が強い。
事業承継の際に報告を求める顧問先の現況報告でも、ひどいものでは50%の減収といった例もある。
平均すると1~2割の減収だが、隠れ廃業候補顧問先を加えると、3~4割の減収となることも予想される。
税理士事務所が赤字経営になることはほとんだないが、今後は十分その可能性は出てくるだろう。
営業ができなくなった事務所ほどその可能性は高いし、廃業への道も早くなるようなようだ。
事業承継支援室長
大滝二三男
9月25日本社セミナールームで事業承継セミナーを行います。
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