先輩税理士さんが、ある日、アポもなく、突然事務所を訪問されたそうです。
先輩税理士は年齢も一回りも上で、開業時にはいろいろと教えをいただいた大先輩でした。
そんな先輩が予告もなく、現れたものですから、何を話してよいのやら、思案していたそうです。
話し始めた老先生は、ご自身は肺がんで、余命1年と宣告された。
事務所の後継者もいないので、事務所を承継してもらいたいという希望を語られた。
これに対して、即答はしなったが、その後数か月経っても、承継話は一切言って来なかった。
ところが、先輩が事務所を訪ねてこられてから1年を結果しようかといった時に、その奥さんが来られた。
その際、先生がガンで1月ほど前に死亡したことが告げられた。
さらに、生前、自分が死んだら、○○先生の所に行きなさい。約束したあるから心配するなと言われたという。
はてさて、承継してほしいという話はあったが、約束は一切していないのだが、奥さんは話。
「主人の話では、事務所を承継してもらい、自分には毎月生活費として20万円もらえる、ということでした」
あまりにはっきりと奥さんが言われるので、否定することもできず、お客さんを預かった。
預かった顧問先の報酬総額は約1000万円。先輩は2000万円と言っていたが、すでに半分に減少。
先輩が病気療養中に顧問先が見切りをつけてしまっていたわけで、予想された通りになっていた。
しかし、奥さんの話では、奥さんが死亡するまで毎月20万円を支払うことを、自分が約束したことになっている。
当初はそれほど真剣に考えずに、毎月20万円を奥さんに支払っていた。
今なら、はっきりと契約書などを交わして、そのなりの金額を支払えば、契約完了となる。
しかし、それもしなかったので、支払いが始まってからいままでに10年間、支払総額は2400万円に。
承継した顧問先もすでにほとんどなく、承継としては大失敗。しかも、大幅に支払金額はオーバー。
先に亡くなった先生はあの世でご機嫌に違いないだろうが、指名された後輩はいい迷惑。
こんな例は嘘のような嘘のような話だが、事業承継話は先生がしっかりと最後まで決着をつけてもらいたい。
遺されたものは、事務所の内容をしっかり把握していることはほとんどないので、大迷惑となることも。
人のいい承継者なら、このブログの先生のように面倒を見てくれるが、こんな方はほんの一握りですよ。
事業承継支援室長
大滝二三男
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