数か月前に、こんな相談がありました。
父親の税理士が、どうやら痴呆が進んで、税務調査でもまともに対応できていない。
職員からも、先生はほとんど仕事になっていない。机の前でぼんやりしていることが多い。
確定申告を前に、自分たちで申告書の作成はできるが、先生の判はどうするのか?
税理士試験の挑戦中の息子さんに、職員からの連絡があったという。
「試験の合格できるまで、家に帰るな」と言われていたので、ここ数年家には帰っていない。
だが、父親の痴呆がひどくなり、母親からも一度帰るようにとの電話もあった。
そこで、帰ってみると、その厳格な姿はなく、ただボーとしている父親がいた。
その時はたまたま父親が毎月行っている病院での一コマ。
父親には姿を見せないようにして、隠れながらの様子見だったが、その代わりように唖然とした。
自らはまだ2科目残っているので、整理士事務所を継ぐわけにはいかない。
父親がそのまま税理士業務を行うのは当然無理。そこで、古くからの知り合いの税理士さんに相談。
そこで、「自分が資格を取った時には、買い戻すから、一時的に預かってもらないか?」と提案。
相談した先生も自分の父親より若干年下だが、ご自身いつ体がダメになるか、不安との葛藤中。
先生曰く、「お前さんが資格を取ったら、今度は私の事務所を継いでもらおうじゃないか」
そんなわけで、”一時的な避難”は無事終了。その対価も、もちろん最小限で契約。
ところが、お客さんも職員も先生に預け、確定申告も無事終了しようとした。
その数日前に、父親は長年の患いで、あっけなく旅立ってしまった。
息子さんが父親が亡くなる前に後継を、父親の友人である先生にお願いし、職員も移籍させてもらった。
なくなってからの相談であったら、こんなにスムーズに事は進まなかっただろう、というのがまず浮かんだという。
しかも、痴呆が進んでいなかったら、父親の前に出ることもできなっただろうし、臨終にも間に会わなかった。
こう考えると、税理士事務所を将来継ぐと決めて、交渉できたことが、試験への力になると確信するに至った。
こんなケースでも、承継のお手伝いをすることができるのです。本当にご相談は十人十色ですね。
どんなケースでも対応できるよう、人の心を汲み取れるよう、常に努力が必要なことを痛感するのです。
事業承継支援室長
大滝二三男
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