昔から言われていることですが、「税理士事務所の職員は営業ができない」と。
個人事務所だから、「なにも所長の収入を増やすために、お客を増やすんなんて、、」
さらに、「お客さんを増やした結果、その増えた業務をこなすのは我々だから、そんなことしなくても、」
今のままでいいということのようだ。
税理士試験勉強をしている職員にとっては、業務量が増えれば、受験勉強にも影響する。
「先輩たちが、日々の業務に追われて、勉強がついついおろそかになり、そのうち諦めた姿を見っていますから」
正直に、税理士資格を取るために税理士事務所に勤務している人には、こんな感じの職員もいる。
だから、営業なんてもってのほか。実は将来自分が独立した時に、大きな力になることも分からないままに。
この結果、所長しか営業ができないということになるし、これが常識。
お客さんにしても、自分の会社の帳簿を渡すわけだから、責任のある人に任せたいというのが本音。
従業員と話しても、その事務所の”性格”を100%知ることはできないし、結局、先生を信じて任せることになる。
昔、帝人の社長を務めた”お父ちゃん”こと、大屋晋三氏は社長と副社長の関係をこういった。
「社長と副社長の距離は、副社長と運転手の距離より遠い」
こうなると、お客にとって、税理士事務所の所長とその職員との距離は、はるかに見えないほどの距離がある。
信じる者は救われるではないが、日ごろ会うことのできない所長より、身近な職員のほうが良いという。
それは、日ごろの単純な話でのこと。会社の存亡にかかわるような時には、所長しか頼りにならない。
税理士個人を信用して客になった社長さんにとっては、税理士を商品として見ているのが実のところ。
職員にも営業力をつけなければというのは、サービスの拡大など現存の顧客に対するもののみをみたとき。
新しい顧客を営業できなくなれば、事務所は成熟期から衰退期に。
現状の経済状況、今後の人口減を考えれば当然の結果が待っている。
所長の商品価値がなくなる時のために、何をしておくべきなのか?
事業承継支援室長
大滝二三男