税理士さんたちの研修会で事業承継の現状を話しました。
出席者の中に息子さんが昨年の試験に合格し、無事登録を済ませた税理士さんがいました。
70歳を超えた先生は、仲間の先生からお祝いの言葉に顔をくしゃくしゃにして、満面の笑み。
今更事業承継の話を聞くまでもないが、研修会後の一杯が何よりの楽しみとか。
そのほかの先生方のほとんどは、後継者のいない先生。
「将来的には、事業承継を考えなければいけないのだろうなあ」とは60代後半の先生。
しかし、「お客さんが減れば、従業員を減らせば十分やっていける。最後は女房と二人でやればいいんだよね」
自分でつかんだお客さんとともに、この数十年信頼関係で顧問契約を継続してきた自信がある。
「単純に税務・会計業務だけを、お客さんが期待しているわけではない」とも言う。
「経営者としての悩み事、社内でも、だれにも話せないことを、聞いてもらいたいから契約しているんだ」
お悩みを聞いてこその税理士。ともに数十年の歴史を歩いてきた、そんな経緯があっての顧問契約。
「だから、自分が辞めたら、承継先との関係もうまくいかないでしょう」とも言う。
これまでの経験で、所長が辞めても、従業員が承継先に移れば、顧問先が減少するのはほんの少し。
そんな事実があることを話すことは、ちょっと自重。
先生の思い込みを無碍に否定することも、大人げないと、思わず言葉を飲み込んでしまった。
でも、みなさん、ご自身のことは考えても、どうやらお客さんのことは二の次、三の次。
「我々と一緒に廃業したり、清算したりするんですよ。」。そんなことはないでしょう。
経営の拡充を希望する中小零細企業には、「若い先生とがんばってほしいね」と”エール”を送る。
中にはこんな”精神的に高齢”の先生もいらっしゃいます。
そろそろ本気で、事業承継を考えていただきたい税理士さんに遭遇した研修会でした。
事業承継支援室長
大滝二三男