税金はあまり好きではないが、人とのコミニュケーションが大好き、という先生にお会いしました。
決算書や税務申告書の作成などは、「勤務税理士に任せています」という。
「会計や税務が好きではないんです。税理士試験もたまたま受けたんです」
いわく、大学4年生のとき、リクルート活動、いわゆる就活は一切せず、気付いてみたら、卒業直前。
今からおよそ40年も前の話。当時はリクルートそのものは、今に比較すると、天国と地獄。
超人気の一流企業を望まなければ、ほとんどの人がすんなりと就職できた世代。
それでも、やりたい仕事がなく、ゼミの先生に相談したところ、「1年留年して、税理士試験でも挑戦しなさい」
中小企業経営者の親にも了解をもらって、1年留年。3年後には税理士試験に合格。
合格後、税理士事務所に勤務し、登録可能となった時点で、独立。
事務所開設も、当時商工会議所などの相談員や経営指導員を経験し、顧客を増やす。
予備校の講師もやっていたので、学校からの顧問先の紹介もあったそうで、徐々に事務所も拡大。
それでも、税務・会計は好きになれず、従業員任せに。そのうち、従業員が試験合格。ますます任せる方向に。
こんな先生、実は今でも、決算説明には顧問先を訪問。これも社長さんに会い、経験談を聞くのが楽しみ。
「社長の話を聞いているうちに、社長から知人などを紹介してもらう。人に会うのが、面白く、楽しくなりました」
これぞ、営業の原点。人に会うことが苦手な先生では、事務所もうまく回って行きません。
「税務・会計実務は職員の方が良く知ってます。私は社長さんたちや税理士会のことで精一杯です」
今は、何時の時点で事務所を承継するかが、最大の悩み。
「勤務税理士に実務やってもらい、私は経営者として、死ぬまで顧問先の経営者と会っていましょうかね」
そうとは、言っていられない環境にもなりつつあるようです。
事業承継支援室長
大滝二三男