今から4~50年以上前でしょうか、山手線に上半身裸で幟を立て、「カァッカァッ」と大声で笑いながら、車内を闊歩する老人がおりました。確か荒川らかんさんとおっしゃったでしょうか・
笑いは健康の基、嫌なことがあっても、笑い飛ばそうとばかりに大きな声で語っていたような気がします。今だったらすぐにでも車掌が飛んできて、つまみ出そうとするでしょう。
でも当時は、社会全体が貧しかったので、そんなおじさんの笑顔を乗客も喜んでいたような記憶があります。そんな笑いが今の時代社会を救うような気もしてきました。
実は昨日、タレントの森永卓郎氏の講演を聴きました。題目は「変化の時代の企業経営」でしたが、内容は聞き終わるとまじめな企業経営の話でしたが、脱線することもしばしば。
ところがこの脱線見事にレトリックで、イタリアと日本の社会そして企業文化を比較し、なぜ日本だけが世界経済の中で落ちこぼれているのかを明快に解き明かしてくれたもの。
曰く、社内を明るくせずに、自由な発想に基づいた売れる商品作りなどできるはずがない。日本の企業経営者は暗い話ばかりで、「この不況を全力で乗り切ろう!!」なんて愚の骨頂。
現場サイドの自由な発想こそが、イタリアのブランド品を産みだし、世界中が競争相手にならないすばらしい商品を、付加価値の高い商品を世に送り出していると語る。
また、残業もしなければ、休日出勤もない。夏の休暇も1ヶ月もとる。なんてイタリア人は働かないんだと日本人は言うが、彼らは日本人の倍は働いているというのだ。
その理由は、朝は事前に自らで作成した業務日程を確認し、その日の仕事を時間内に終わらせるように工夫をしており、だらだらと上司に言われるままに仕事をこなす日本人とは全く異なる。
だから、仕事が終われば、大いにワインと食事を楽しみ、生活を家族全員が一緒に過ごす楽しみを謳歌している。そんな環境を日本人は大いに見習うべきだという。
結論は、荒川らかんさんではないが、笑い声の絶えない人生を送るために、まず朝から出勤したら大きな声で同僚みんなと挨拶をするとともに、仕事をする際も明るく振る舞おうというもの。
なかなかできることではないが、程度の差はあれ、成長している会計事務所でもこのような明るく振る舞い、朝は鏡に向かって、笑顔を練習し、スタートラインに着いている事務所もあります。
イタリア人のようにわれわれにはとても歯の浮くようなお世辞は言えませんが、先生一度職員に「○○さん。今日も笑顔が良いですね。よろしくね」なんて言ってみませんか?