所長先生が、顧問先の実情を把握できていない事務所もたびたび知らされます。
所長さんは日ごろ何をしていたのでしょうか。
長期の病気で事務所の実務等はすべて職員任せ、はんこは押していたが、その中身は職員任せ。こんなことでは税理士としての職務は果たしていないのですが。
でも、事務所は立派に機能しています。職員が作った書類、税務申告書も先生のはんこがあれば、立派な申告書です。もちろん、先生は責任を取ります。
ここ数年の電子申告の普及で、先生の”はんこの力”も半減しています。ややもすると、電子申告の税理士IDですべて通じますので、署名は必要ありません。
電子申告の税理士IDがあれば、先生に代わって、職員が税務署に申告することもできますので、先生の仕事はかなり変わってきています。
もちろん、先生が税務申告書を作成し、納税者に代わって税務署に電子申告するのが基本ですが、”事務省略”で先生を無視することも可能です??
こんな事務所を承継すること自体が大変難しい状況になります。
先生も長期の病気や高齢を理由に現場を離れ、顧客対応はすべて職員任せ。すべての顧客をはるか昔に営業し、獲得したといっても、今や影響力はまるでなし。
それでも、「お客はついてくる」と言っても、先生が代わる時に、残るお客さんは果たしてどれくらいいるのでしょうか。
本来であれば、現場を掌握できなくなったときに所長先生はその立場をどなたかにバトンタッチするべきなのでしょうが、それができないというのが現実です。
やはり、欲なんでしょうね。
事業承継支援室長
大滝二三男