税理士業務は会計監査業務のようにチームで仕事をすることがなく、いわば個人プレーでできる仕事という理解が普通。
税理士がチームを組むのは大きな相続案件か、審判などの事案で日々の仕事では一人の税理士の判断で業務が展開される。
この結果、税理士が会合などで話し合う事柄といえば、一般的な景況を話し合うのが程度。支部の行事も会員の懇親を深めることに重点が置かれる。
もちろん、税理士の立場を守るためのさまざまな問題については、監督官庁である国税庁に具申されてはいるが、経営問題については個人任せ。
そこで、近年のように会社法に代表されるようにさまざまな法改正が行われ、これらの解釈などで四苦八苦の先生方も少なくない。
だからといって、自ら疑問になっている点をほかの税理士に質問することにも抵抗を感じ、余程のことがない限り、自分お胸のうちにしまいこんでおく人も。
お子さんが資格を取り、将来的な後継者の地位を望んでも、実力がなければ経営者として認めないという親御さんも少なくないが、経営者としての教育には疑問符をつけざるを得ないというケースも見受けられる。
業務は十分こなせても、経営に関する判断力が出来上がっていないことには、単なるプレーヤーとして、勤務者の一人にしかなれないこともある。それでも、時が立てば経営者にならざるを得ないジレンマに襲われる。
そんな若者たちが今は多いような気がします。父親の事務所を継ぐより、勤務して税理士続けたほうが気が楽だし、収入もそこそこにあり、単調な毎日を過ごすより難しい仕事をしたほうがいいというわけだ。
これからの時代には大都会で勤務税理士、プレーヤとしての税理士だけがなってしまうことも考えられる。それだけに経営者としての若者を育てる必要がますます増大してくる。
次代の大規模税理士法人の経営者たちの教育ができるかどうか。これからが勝負の時代になってきた。大規模法人の役員になっている人たちが果たして経営者として十分訓練ができているかどうか、この5年が見ものだ。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。