企業の寿命は3年とも5年とも、30年ともいわれますが、その税務申告をお手伝いする税理士事務所の寿命は果たしてどれくらいなんでしょうか?
当事業承継支援室でお手伝いした中でもっとも長いのが50年。通常の先生方はほぼ30年で少々お疲れ気味。このころになると、所長が自ら進んで行う新規の営業はほとんどありません。
というより、そろそろ事務所の衰退が始まる時期でもあります。これは通常の企業と同じなんでしょうが、売れる商品が特別にあるわけではないので、所長個人の個性を売るしかないわけです。
でも、30年も同じ仕事をしていると、ほぼマンネリにもなりますし、自分の殻、事務所の風土が出来上がっていますから、なかなか新規のお客さんは受け入れがたくなるようです。
そうなると、30年を過ぎるとほぼ進取の精神がなくなり、それまでのお客様を守っていこうという姿勢に変わってくるようです。当然、成長戦略は取れないようになり、現状維持が精一杯になります。
ところが、平成14年に税理士法人制度が出来上がると、ゴーイングコンサーンが税理士事務所も可能となり、組織化された税理士の集団が出来上がってきました。法人化が税理士法人の寿命を延ばしたことは事実でしょう。
そして、この制度を十分活用して、個人の事務所から組織としての事務所作りが出来上がりつつあります。でも、本当の意味で組織として税理士事務所が社会的に評価されるには、今後10年から20年かかると予想されます。
というのも、現在の税理士法人はまだ第一世代。個人事務所のオーナーが法人化したに過ぎません。これからオーナー時代からパートナーの時代に移っていきますが、その転生が需要でしょう。
最終的には、現状では個人事務所の寿命は所長先生の寿命。病気等で早くなくなれば、事務所も短命に終わります。どちらが正しいかは分かりませんが、今後10年間では超大規模な税理士法人ができるのは間違いないでしょう。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。