税理士事務所の事業承継のお手伝いを始めて5年になります。
ご相談に見える方、そして事業承継を実現できた方のほとんどが後継者がいらっしゃいませんでした。
もちろん、後継者がいないからご相談にこられたわけですが、ちょっと待ってください。
実は後継者候補者となる税理士さんを雇用し切れなかったのが実情のようです。違いますか?
税理士試験に合格した人は2年間の実務研修期間を終了して初めて税理士として各税理士会に登録できます。
この期間を過ぎると、多くの勤務税理士は独立開業するのが、常識でした。数年前までは。
その常識を作り上げたのが、勤務税理士を雇っている余裕はないという税理士事務所経営者の常識でした。
でも、本当にそうでしょうか。実はそうではなかったようです。
つまり、税理士事務所に「先生」は、所長さんご自身しか、必要ないと考える経営者が実に多いことです。
勤務税理士が営業して顧問先を増やすことはあまりなく、顧問先を増やすことができる税理士には将来独立するのだろうから、経営上リスクを少なくするため、「早く独立したら?」ということになった。
絶対権力者(最近よく聴く言葉ですが、)は一人でいい。経営者として職員、しかも税理士試験になかなか合格しないものの、仕事がよくできる職員ほど魅力的です。
確かに、勤務税理士となるとそれなりの報酬を支給しなければいけませんから、所長先生が計算を働かせるのは当たり前かもしれません。これまでの経営環境では確かにそうかもしれません。
でも、個人の魅力で税理士事務所を経営できた時代はそろそろ考えなければいけない時代になっています。所長先生が個人営業の顧問先を法人化させてきたのはもう30年を経過してきたでしょう。
それなのにコンサルを提供するほうが個人事務所のままはいかがなものでしょう。組織として対応すべきところあくまでも所長個人の責任で対応することは”わがまま”以外の何者でもないでしょう。
所長先生も後継者となる勤務税理士を教育し、創業者である自らの歴史と風土を教え込み、法人として永続性のある事務所を構築していく必要があるのではないでしょうか。顧問先もそれで安心はず。
本日は少々、きつい内容になりましたが、税理士事務所も組織として顧客に対応すべき時代になっていると考える私の独断です。後継者となるべき優秀な若い人材も所長の独断にはもうついていかない時代ですよ。
事業承継支援室長
大滝ふみお
でした。