年齢とともに事務所経営が厳しいと感じたとき、まず何を考えるのか?
お客さんが心配だと思う人が一番多いというのだが、現実は職員のこと。
職員の中には年嵩の人もいるが、やはり心配なのは若い人の生活。
ここ数年、税理士試験に挑戦する若者が、減ってきている。
試験そのものが非常に難しくなり、各科目合格は受験者の1割弱。
5年で5科目に合格するという人も、少なくなる一方。
試験に挑戦し続ける職員が挫折しないよう、所長も気遣う。
中には、税法1科目に合格している職員を、大学院に行かせる所長もいる。
とにかく、資格者になれば、独立の道もあり、前途洋々。
そんな職員は、引退を決意した所長にとってみれば、゛問題外゛。
資格に挑戦も、刀折れ、矢が尽きた職員の将来が一番の心配の種。
実務では試験合格者より、格段に長けているのだが、ただ資格がないだけ。
入力だけを担当するパート職員でも、税務を十分理解している人もいる。
中には、決算書から税務申告書まで作成できる人も少なくない、
たまたま子、育てや介護で正社員にならない人もいる。
このような職員の生活を守ることも、引退に当たって考えざるを得ない。
自分は引退、職員人は退職金を払って、事務所は即閉鎖。
これができれば、何ら悩む必要はないのだが、前述のように様々な問題が。
そこで、顧問先と職員一緒に引き継いでもらえれば、これは問題解決。
ただし、担当を持つ、外回りの職員は引き継ぐが、内部処理者はノー。
こんなケースも少なくないから、廃業する先生は悩むことになる。
できれば職員全員を引き継いでもらうこと、それで所長は解放される。
理想的な承継の形だが、果たしてどれ程できているのだろうか?
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男