税理士稼業は、”家業”であり、小規模零細企業を同じ宿命を持っています。
後継者がいなければ、一代で商売を閉じます。
資格ビジネスだけに、お子さんが国家試験に合格しなければ、血はつながりません。
ここが顧問先とは異なるところ。
資格がなくても後継者になれる企業経営とは、根本的に異なります。
しかし、身内の人間で資格を取れないが、事務主以上に顧客の信頼を得ている人もいます。
このようなケースで、親である税理士はいつ引退すれば良いのでしょう。
親に万が一のことがあり、資格者がいない事務所になれば、途端に営業はできなくなります。
しかも、相互扶助の精神で、助け舟を出す、税理士会はその客さんだけのための活動をします。
一日でも会計業務が滞っては、経営に悪影響を及ぼすとばかりに、分断します。
元の事務所のお客さんは、数人の税理士がその業務を担当し、元の事務所の仕事はなくなります。」
元従業員を雇用して、それまでと同様の顧客対応をさせる先生もいるかもしれません。
でも、それは一時的なこと。自分の職員でできることであれば、旧事務所の職員を雇用しません。
こんなことが繰り返されてきました。
ですから、職員が顧問先を持って他の事務所に移って行ってしまうというような”慣習”ができたのです。
税理士さんの事務所で、お子さんを勤めさせている先生で、お子さんのことを考えない人はいません。
お子さんの立場を考える時、何時までも成行きに任せておくのは、無責任そのものです。
家族が納得する体制を、”万が一の事態”が来ないうちに十分な対策を講ずるべきでしょう。
これからの5年、10年、税理士事務所は衰退します。その時のことを十分考えて間違いはありません。
自分にもしものことがあっても、家族はうまくやっていくだろう、なんて無責任にもほどがあります。
そんな事例を多く見てきた弊事業承継支援室だから、あえて強弁します。
事業承継支援室長
大滝二三男