お客さんを持ってきたのだから、給料が以前より高くなる。
多くの移籍者は、そう思うに違いありません。
しかし、移籍前の給料が、働き以上に高ければそうはいきません。
前の雇用主が十分な給与を出していないとは、言い切れません。
もらう方は、本来はもっともらえるはずだと考えているでしょう。
例えば、1000万円の売り上げで、給与は300万円であれば、 アップ。
また、600万円であれば、そうは簡単にはアップできないでしょう。
単純には言い切れませんが、800万円であれば、ダウンも考えられます。
ダウンしても良い、早く事務所を辞めたいという人もいます。
所長と何らかのイザコザを抱えた人は、給料の問題ではないでしょう。
でも、自分の地縁血縁で確保した顧客は、普通に持ち出せます。
それを拒否する先生は、少ないはず。
「辞めるんなら一緒に持ってけ!」と言うかどうかは、分かりません。
普通は、「どうぞ、どうぞ!」となるはずです。
しかし、所長が獲得した顧客を、担当になっただけで持ち出すのはダメ。
就職する際に誓約書を提出し、゛持ち逃げ゛せずと宣言したはず。
そんな顧客を新たな事務所に持っていき、「私の顧客です」言うのですか?
それで高給をもらおうなんて、あまりにも浅ましいではありませんか。
でも、新しい雇用主もわかっていますから、将来を約束はしないでしょう。
そのうち、文句がたまったら、再び゛持ち逃げ゛するに違いない。
だから、事務所内での評価は、さっぱり上がりません。
となれば、給料も移籍当初は高くとも、その後のアップは期待できません。
全うな人は、移籍の際に担当先には手を触れない。
お客を持ってくると期待する雇用主も、まともではないでしょう。
何れにしても、きれいに辞めた、実力のある人であれば、先も明るい。
一時的な気分で、後ろ指を指されるようなことをするのは、ストップ。
所長が経営者として落第なら、そのうち事務所も落ちぶれていきます。
泥舟から逃げ出すのも、将来のためでしょうね。
事業承継・M&A支援室長
大滝二三男