税理士事務所で退職金制度を設けてはいるが、積み立てていない先生もいる。
このケースでは、事業承継の際には職員に払う現金がないことになる。
そこで、退職金を事業承継者に引き継いでもらうことも考えられる。
こうなると、承継の対価は、当然減額されることになる。
しかし現実には、退職金制度をそのまま継続するケースは、ほとんどない。
というのも、退職金制度も様々で、簡単なのは中退金が代表的なもの。
この制度の場合、勤務実績に応じて、掛け金が月5千円から最大月3万円。
大企業のように老後を過ごすための十分な退職金には、到底及ばない。
それでも、所長の都合で退職となるわけで、増額されることもある。
所長は共済に若干自己資金を上乗せした形で、退職金を払うわけだ。
そのための資金を、事業承継の対価から支払うことも少なくない。
退職金を肩代わりしてもらえれば、面倒な資金繰りも必要なくなる。
承継の対価はこの退職金の肩代わりで減額されても、御の字だろう。
最近の事例では、奥さんが先生に知らせず、長年退職金相当額を積立て。
しかし、現実は対価から支払い、゛内助の功資金゛は奥さんの゛お小遣い゛に。
このように受け手は退職金を肩代わりせず、譲り手が払うのが普通。
結果として、対価を減額されず、100%受け取り、様々な費用に当てる。
ただし、契約時に対価は確定せず、引き継ぎの状況を見て、後日確定する。
その引き継ぎ期間は案件毎に決まり、対価の支払いも複数回になる。
これまた、ケースバイケースとなりなりますから、十分検討を!
事業承継支援室長
大滝二三男