勤務税理士と所長の年齢差が、25才以上あると承継に疑問符が付く。
所長が、その経営能力を過小に評価することが多い。
実際に勤務税理士は実務オンリーで日々過ごし、経営に関与しない。
というより、所長が実務をしないことが多くなると、その代わりをする。
経営を任せる舞台を踏ませないわけだから、その訓練は出来ない。
さらに年代差で、ものの考え方も雲泥の差がある。
例えば、現在70歳代の所長と40代職員では、お酒の飲み方も大きく違う。
所長が若い時、先輩に「呑みに行こう」と誘われれば、答えはハイ。
楽しみが少ない時代だったので、毎日のように先輩たちとつるんだ。
しかし、現在はこうはいかない。
「呑みにいこう」と誘っても、「ええ、今日ですか?」
答えはノーで、先輩と一緒に呑みにいくなど予定にはない。
こんな具合で、70代と40代が相互理解するのは、なかなか難しい。
それが30代まで若くなると、これまた所長の理解力は大幅に低下する。
事務所が大規模になり、法人組織になれば、まだ理解の幅は広がる。
というより、組織が人材を育成するのだが、個人事務所では出来ない。
どうしても、所長個人の指導力に頼らざるを得ない。
だから、若い税理士を後継者と考えるときに、どうしても過小評価する。
事務所を承継した後に、果たして義務を果たせるのか、との疑問も残る。
具体的には対価の支払いが完遂されるのかどうか?
途中で義務を放棄して、持ち逃げされてしまうかもしれない。
そんな思いを抱かせる勤務税理士に、やっぱり事務所は任せられない。
もっとも、若い税理士には業務を教え、独立させるのが一番かも。
年齢差がありすぎる場合は、理解しようとしない方がいいのかもしれない。
能力を過小評価される若い税理士も、我慢が出来ないでしょうから。
事業承継支援室長
大滝二三男