開業後、苦労して事務所を発展させてきた先生も引退の時期に。
家族に後継者がいる場合には、創業者の名前がそのまま残るのは当たり前。
だが、名字の異なる婿さんでも、創業者の名前を残こすこともある。
というのも、個人事務所の場合、所長の名前を冠するのが決まり。
これは税務署向け、税理士会向けのパフォーマンスと考えればいい。
お客さん向けには、通常の付き合いでは先代の事務所名を通称とする。
お客さんは婿さんであることを知っているから、何ら問題なし。
抵抗があるとすれば、婿さん自身がそれに我慢ができるかということ。
何ら痛痒を感じなければ、そのまま事務所名を使えば、お客さんも安心。
しかし、他人が引き継ぐ場合には、はたしてどうなるだろう。
先代が影響力の強い、実力者だった場合には、名前を残した方が良い。
とはいうものの、後継者も自分の名前を表に出したいはず。
そこで、二人の名前を冠する共同事務所として、しばらく営業する。
時期を見て、譲り手の先生は引退するのだが、名前はそのまま。
税理士法人の場合は、法人名の後に名前を○○事務所と付ける。
こうすれば、先代の名前は残るし、社員税理士となれば、なお結構。
こちらもお客さんは先代と同じ対応がされると、これまた安心する。
実質的な経営者が変わっても、先生がいるから客離れは起こりにくい。
まさに、三者一両得といったところか。
アメリカでは創業者から取った名前を変えない伝統もある。
プライス・ウオターハウス・クーパーは、合併した事務所の創業者名。
日本でもありますよね。
一方の先生は亡くなり、血縁者もいない、それでも創業者名は残る。
今後、吸収合併が盛んになると思われるが、その際、名前のこだわりは?
中には、自分の名前を入れろという人も出てくるだろう。
確かに弁護士事務所などでは、3人の名前を関したところも少なくない。
今後は税理士事務所もそうなるような気もするが、はたしてどうか?
個人名を全く入れない法人も増えているが、これも合併対策?
事業承継支援室長
大滝二三男