税理士事務所の事業承継をお手伝いして、はや11年目を迎えた。
これまでに140件余の案件の契約を実現したが、表題は事実か?
そう、事業を譲る先生の多くが、客離れを心配する。
「自分に付いていたのだから、辞めたら、きっと、他の事務所に移るよ」
こんな風に言われるのが、常。
そこで、契約を取り付けるためと、勇んで反論はしません。
この言葉は、先生が肚を決めかねていることの証明。
だから、「先生は直ぐに辞めてもらっては、困ります」と話します。
当然、先生が突然居なくなれば、お客さんも不安になる。
「自分達は、売られちゃったのか?」といった疑問も出てくる。
そうなると、「俺は゛売り物゛じゃないぞ」と、怒り出すお客も出る。
長年顧問料を頂いてきたお客さんに、なんの挨拶もなく辞める人はいない。
主だったお客さんには、事前に話をされる先生が圧倒的に多いのも事実。
後継者を見つけられたことに、お客さんが慰労の言葉を掛けることもある。
「先生が選んだ人(法人)だから、安心だ。これからもお願いするよ」
そして、「職員も、そのまま一緒に仕事をしますよ!」となれば、万全。
これでこの言葉が出れば、お客さんはますます安心。
でも、病気などで仕事ができなくなっても、実は客離れはそうはでない。
やはり、信頼している先生が選んだ後継者だから、契約は継続する。
しかも担当者がそのまま残っていれば、お客さんも代え難い。
気心の知れた職員がこれまで同様に対応してくれれば、別に問題なし。
中には、「先生でなく、○○さんが来れば良い!」とはっきり言うお客も。
そう、先生は自分が辞めたら、半分以上お客は減ると言うが、答はノー。
実際には、担当の職員が辞めて、他の事務所に移ったほうが、客は減る。
゛持ち逃げ゛ですが、この方がよっぽど痛い訳です。
だから、事業承継の際には、まずは職員の雇用を守るのが先決。
こうすることで、職員を守り、お客を守り、先生も安心して、交代できる。
もちろん、しばらくは残ってお客さんとの友誼関係を継続してもらう。
これで、゛4者1両得゛となり、事業承継の安泰、
本日のタイトルの答は、「ほとんどお客は減りません」となります。
事業承継支援室長
大滝二三男