今年度の税制改正で、結婚と子育て資金の贈与が一部非課税になった。
平成31年までの4年間という制限があるが、直系尊属からの贈与は1人1000万円まで非課税に。
もらう方は20歳から49歳で、子育てが1000万円、結婚は300万円までは贈与ではかからない。
しかし、子供の結婚式に贈与税がかかると思っていた人は、どれだけいるのだろうか。
しがないサラリーマンが結婚に際し、親から結婚式費用を出してもらわない人の方が多いだろう。
適齢期の娘が果たして結婚資金のためにいくら貯金をしているのだろうか。
OLとして、10年働いたとしても普通のOLであれば、その貯金額も数百万円がせいぜいのはず。
中には貯金ゼロという女性も少なくないハズ。
給料が毎年あがるシステムも今は昔。数千円もベースアップがないのが普通。
政府がどんなにいい話をしようが、中小企業に勤めるOLであれば、衣食住で目いっぱいのはず。
地方から都会に就職した人であれば、給料の半分以上を住居のために支出している。
貯金などという余分な資金はほとんどない。
そんな娘のためにと結婚資金を出すのは、当然親の役目。
見栄も張るだろうし、東京で結婚式を挙げるとなると、数百万円は当然かかる。
地方でも中小企業の創業者の子供の結婚式が盛大に行われ、その費用はもちろん親持ち。
その支出に対して税務署が”お訊ね”をしたなんて話は聞いたことがない。
誰もが認める風習のはず。なぜそれが突然300万円まで非課税となったのか?
さらに、医者の息子さんが私立医大に、卒業までの6年間の学費は、入学金を含め5000万円は下らない。
この学費は一人1500万円まで非課税だが、その枠をはるかに超えている。
これも税務署が贈与税をかけるというはずもない。そんな”風習”のはず。
余りある余裕の資産を持つ高齢者から、若者への資産の引き継ぎを目指す制度とか。
言われなくても、そんな費用はこれまでも親が出して来た。
いまさら、贈与税がかかると言われても、だれがそれを認めるのだろうか。
親の世代も認知症などの不安もあり、そう簡単に資産を子供に譲ることもない。
孫への教育資金としてそうとの資金が信託されたというのが、改正の”動機”になっているのだろうか。
でも、だれも教育資金や結婚資金に税金の目が光ってるなんて、考えないのが普通の親。
娘や息子の一本立ちにお祝いとして、資金を出して上げると、親は考える。
数億円の結婚披露宴を行う”お大臣”の子たちの財布からは、もちろん出せない金額。
誰もが認めるところだが、その資金出所を新婚さん夫婦に、税務署は”お訊ね”を出すのだろうか。
そこにチェックを入れる姿勢が疎ましい。
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