先日、税理士事務所長とその幹部を対象にした経営セミナーがあった。
その時に話題になったのが、人材不足で職員募集がままならないこと。
なかでも、税理士試験に挑戦する若者は、大幅に減っているという。
そして、税理士を目指す人材を募集する事務所は、方針を変更する必要も。
その理由について、先生いわく、若者たちは我慢ができない、と。
どういうこと?
つまり、合格するためのアドバイスをしても、聞く耳を持たない。
同じ忠告を繰り返していると、いつの間にか、事務所を辞めてしまう。
試験合格を目指しているはずなのに、先生にはその行動が理解できない。
自分達は先輩の話を聞き、多いに参考にしたと言うのだが、それができない。
もちろん、誰もが聞く耳を持たないわけではない。
数年で5科目合格した人は、やはり予備校の先生の指導を素直に聞いたと言う。
しかし、5科目合格まで我慢できる人は、確実に減っているという。
受験生が減少している原因も、ひとつは我慢不足かも。
同時に大学院修士課程に進み、税法2科目、会計1科目免除を狙う人も増加。
税法1科目合格した段階で、修士課程に進むよう指導する所長もいる。
この便法は、4科目合格で残り税法1科目が取れない人が使っていた。
しかし、今は1科目合格で、大学院に行く人がかなり出てきているのだ。
こうなると、受験生も自ら減ることになる。
特に、税理士事務所の゛後継者゛が、この手法を使う例が多いのも事実。
試験勉強で時間を潰すより、実務に強くなった方が将来役に立つ。
その時間が勿体ないと言うわけだ。
資格の取り方は別にどうでもいい。問題はお客さんを満足させられるかどうか。
事務所経営に資格は必要だが、それが全てではないと言うのだ。
確かに、顧客サービスが十分であれば、資格の取り方は問題にならない。
後継者のなかには、大学院は出たけれど、税法1科目試験に受からない人も。
こうなると、何のための免除制度か分からなくなる。
ここ数年の税理士試験受験者の減少の一面が、この大学院かもしれない。
ダブルマスター制度が厳しくなってきた中で、諦める人も多いのかも?
中途半端な景況で、資格ビジネスに進もうとする若者も迷っているのか?
それとも、厳しくなる税理士事務所経営に、見切りをつけたのだろうか?
確かに、挑戦者は減少している、難しい試験はもういいとでも言うのか?
答えは数年後にははっきりすりだろう。
事業承継支援室長
大滝二三男