今や税理士資格を取得可能にする大学院は、全国各地にある。
通信制もあれば、集中講座で働く人にも都合のいいシステムも採用されている。
少子化というが、ほとんどの高校卒業生が大学へ進み、さらに大学院への門戸は広い。
大学の経営者にしてみれば、必死。経営を安定させるためにも、あの手この手で工夫を凝らす。
そんな中で確実に増えているのが、税理士資格取得のための口座を開設する大学。
老舗はもちろん、従来通りだが、なかには税法の一科目に合格していないとゼミに入れないという先生も。
これはゼミの修了生で、免除の資格となる修士論文を合格としても、税法一科目も取れない人も。
ひどい人では、会計2科目のうちの一科目を免除される会計系のゼミを修了しても、試験合格なし。
こうなると、修士論文を了とした教授に対する評価も、ガタ落ちとなる。
しっかりとした指導ができてこその修士論文の審査だが、大学院でオーケーとなっても、次の段階が。
つまり税法免除2科目、会計1科目の免除を受けた人が、税理士になるためには国税庁のチェックがある。
修士論文の国税庁としての審査がそれ。数年前までは、それほど厳しい審査はなかったという。
しかし、免除者からの税理士資格申請が多くなり、なかに同じ内容の論文が提出されるようになったとか。
そもそも、これまでに審査された多量の論文に似通ったものが出てくるのは、”当然”という見方も。
とはいうものの、内容ばかりでなく、その文章からも非常に似通ったものが出て来るようになったという。
何年にもわたって指導続けている先生からは、同じようなテーマを与えられることもあるだろう。
しかも、パソコンを使ったものであれば、資料も同じものをチェックし、論文に使用する可能性大。
文明の利器がこのような傾向を産んだともいえるだろう。
この3月に大学院を卒業し、すぐに税理士の資格審査を行い、6月末に登録できたという人の話。
「実は、大学院の教授から論文に一言付け加えてあると、審査機関は短くなる」というのだ。
つまり、”推薦状”が一緒にあれば、審査もそれなりのスピードでチェックされるというわけだ。
嘘か本当か、定かではないが、身近な人の審査がすんなりと通ったという税理士の話だから、どうだろう。
就職はゼミの推薦が必要であるが、はたして税理士登録申請で、このようなことがあるのだろうか。
もしそうであれば、その教授の門をたたく税理士予備軍は、そちらを選ぶはずだが、いかに。
それを大声で言う教授はもちろんいないだろう。口コミに頼るしかにでしょうね、教授探しは?
読むに堪えないような中身のない論文を”推薦”する教授はいないことは、断言できる。
秋には、大学院の入試、あと一科目の挑戦者にはこの大学院修了が”王道”になりつつあるようだ。
事業承継支援室長
大滝二三男