営業譲渡等の契約だ締結されて、引き継ぎ期日が確定します。
この引き継ぎ期日は、税理士の業務が新たな税理士に移る日。
この日以来、顧問先からの収入は、新しい事務所(法人)に入ります。
当たり前だろうと言うかもしれません、でも一部は違います。
引き継ぎまでに行った業務に対する報酬は、元の先生に入ります。
通常、税理士事務所の報酬は当月請求、翌月精算となっています。
ですから、引き継ぎ後の1ヶ月は、新事業主には報酬はありません。
従業員も雇用した場合には、給与分が一番大きな出費になります。
このため、新事業主は1月分の費用を準備する必要があります。
この資金の準備以上に必要な業務が、顧問先との契約更新です。
多くの個人事務所では、顧問先と契約書を交換していません。
所謂口約束がほとんどで、契約書は馴染まないと難色を現す先生も。
これは契約書を強要すると、顧問契約を辞めてしまうと考えるから。
ですから、当初は契約書の交換は諦め、新事務所に馴染むまで待つ。
とにかく顧問先が離れては、事務所を承継する意味がありません。
両者がこの事を十分理解していますから、引き継ぎには慎重になります。
「自分が信頼する先生に仕事を任せますので、よろしくお願いします。」
挨拶回りをする時には、こんな会話があるのかもしれません。
でも、引き渡す先生の協力がなく、新事務所だけで動いても効果はなし。
事実、先生が挨拶回りを拒否したケースでは、顧問先は激減。
最終的に事務所の評価も下がり、先生の収入も大幅に下がってしまった。
まあ、自業自得ということだが、引き受ける側には大誤算。
この事例では、契約を破棄しても不思議でなかったが、そこは我慢。
今では新経営者が残った顧問先の信頼を得て、徐々にお客を増やしている。
とにかく、顧問先の引き継ぎがスムーズにいくこと、これが鍵だ。
挨拶方法なども様々だが、これは又の機会にしよう。
事業承継支援室長
大滝二三男