所長税理士は事務所の仕事は勤務税理士任せで、もっぱら゛副業゛。
その勤務税理士さんは、40代前半の独身女性。
税理士試験も、所長のバックアップもあり、20代後半に合格。
税理士登録も、もちろん所長の証明でき無事クリア。
所長が税理士会の会務等に忙しく、顧客には勤務税理士が対応。
そんな体制が長く続いたが、所長が脳溢血で突然帰らぬ人に。
葬儀が終わり、事務所業務を誰が引き継ぐか、大問題になった。
というのも、事務所職員は件の勤務税理士のみ。
当然、彼女が事務所を引き継ぐものと誰もが考えていた。
ところが、所長夫人が娘婿に継がせると突然宣言。
娘婿はすでに事務所を開業していたから、引き継ぎには腰が引けていた。
というのも、勤務税理士に引き継ぎの意思なしとはっきり言っていたのだ。
しかし、義母が自分を後継者に指名したことで、大役を引き受けることに。
こうなると、勤務税理士は事務所に居場所がなくなってしまう。
勤務期間中に自ら営業した数ヵ所の顧問先とともに独立することにした。
後継者にいなった娘婿さんも義母に気を使いながらも、独立を承認。
そこで、自分と共に新事務所に移る顧客の資料を提供するよう要請。
ところが、なんと経営者でもない所長夫人が、資料提供を拒否。
さらに事務所の客を連れて行くなら、その代金を払えと要求。
その金額も年間顧問料の3年分という法外なものだった。
1年分であれば払うつもりもあったというのだが、あまりの高額に唖然。
しかも、事務所の仕事を娘婿に教えることも無料でやれと主張。
あまりの無茶苦茶に、何故、どれ程ひどい主張するのか、考えてみた。
その答えは、所長は仕事のことは一切奥さんに話さなかったようだ。
実際、所長が生前中、奥さんは事務所には一切口を挟まなかった。
ただ、事務所業務は一切行わず、専従者給与を受け取るだけだった。
そう、女性職員・税理士を指導する所長には、不満が募っていたようだ。
まさに嫌がらせが続き、会計ソフトを使わせないとまでいう始末。
パソコンなどを使わない限り、娘婿に業務を引き継ぐこともできない。
最終的には業務も引き継ぎ、独立のため顧客の資料も手に入れた。
なんとその資料を所長夫人は、勤務税理士にも投げつけたという。
所長そして女性税理士には男女の仲があったと信じていた節がある。
女性税理士にしてみれば、所長は父親みたいな温厚な指導者。
もしも、男女のなかがあったなら、お金も払わないし、教えもしなかった。
男女の仲を疑われること自体、情けなく、悲しいことだと思う。
考えてみると、なくなった所長の罪は限りなく深いと言えないだろうか。
仲介業務をやっていると、三面記事的な厄介なことにも出会います。
聞くに耐えない内容ですが、多分どこにでもある話なんですね。
事業承継支援室長
大滝二三男