税理士業界にも少子化の波が、音もなく押し寄せています。
事務所(法人を含め)の規模に関係なく、リクルートが大問題。
募集広告を出しても、まともな応募者がほとんどないという。
リクルートする側の要求が高いのかと言えば、それもある。
他人のお金の勘定をするわけだから、それなりの能力が必要。
税理士志望の若者なら誰でも良いわけでもないのは、当然のこと。
それでは、どんな条件があるかと言えば、まず他人の話が聞けること。
今の言葉で言えば、コミュニケーション能力があること。
顧問先に行かず、事務所でもパソコン相手の仕事をする、
それらの作業をする人は、パートでも賄えるが。
必要なのは、経験はともかく、顧問先との交渉ができる人材。
税務などの専門的なことは、業務を経験するなかで理解できるようになる。
しかし、コミュニケーション能力は、そう簡単には身に付かない。
所長が付きっきりで教育するほど、暇ではない。
こうなると、これらの能力がある人を求めるのだが、いないのだ。
もっとも、経済成長期は、社会が手取り足取り教育してくれた。
企業内にもそれなりの教育システムがあったが、今はもうない。
ひるがえって、税理士業界を見ると、企業人を育てる歴史はなかった。
個人の経営者が自分なりの事務所を作り、眼鏡にかなった人を雇った。
税理士志望の若者も試験勉強がメインで、片手間に仕事、言い過ぎかも。
税理士になっても、人を教育するのは苦手。
そんな歴史のある業界だが、今はその受験生そのものも減少。
少子化が進むと、税理士事務所の人材不足はひどくなる一方だろう。
これを防ぐためには、高齢者を辞めさせず、可能な限り働いてもらう。
そうすることで、顧問先にも安心してもらう。
若い担当者がほしいと言う顧問先も、同様の悩みがあるはず。
その悩みを解決する方法として、税理士事務所が高齢者の雇用を継続する。
高齢者の場合は健康問題もあるから、一年更新で雇用すればリスクは減る。
若者がいなければ、働きたい高齢者を活用すればいいこと。
一般企業にもこの流れができつつあるのだから、当然採用すべきことだ。
事業承継支援室長
大滝二三男