事業を拡大するために事業承継をしたいと思う税理士が普通。
自らが日常の中で営業して回るには、なかなか時間も精神的な余裕もない。
まして、経済成長期のように次から次へと、新設企業が生まれているわけでもない。
顧問先からの口コミによる紹介で、新しい顧客を迎えるのも少なくなっている。
同時に営業担当の職員を確保するだけの資金的な余裕もない。
そんな時に事業承継の話があると、所長はどう対応するのだろうか?
職員にも資金的にも余裕がないとあきらめるのか。
それとも、過去に人事問題で事務所内がぎくしゃくしたことがあり、そんな事態は避けたい。
まさに消極的な対応しかできないと、せっかくの事業承継のチャンスをつぶすことになる。
当然、現状に満足している先生には必要のない話。
しかし、少しでも事業の拡大を考えている先生には、魅力的な話となる。
その時に承継する費用などに懸念があり、躊躇してしまうかもしれない。
非常に残念な話で、それなりの事務所を経営されている先生には資金は十分ある。
これまでの経験からそういった結論になるのだが、一度納めた資金は出したくない。
そう考えるのも当然だが、チャンスを生かさないといつまでも事業は拡大できない。
ここで事業承継の見方を変えてみよう。
資金面から事業承継を考えるのではなく、人材面から見てみよう。
昨日も書いたが、とにかく人材確保が大変難しい状況にある。
職員不足で事業を縮小しなければならない事務所もある。
それを考えると、事業承継とともに職員も確保できるとあればどうだろう。
しかも、その中に事務所の中核になりうる人材がいるとしたら、その人を生かすべきだろう。
これまでに何度も事業承継を経験された先生がいう、「中に光る人材がいる、それはありがたい」
そう、自ら育てることなく、すでに出来上がった職員を確保できれば、それだけで成功。
承継された事務所内の業務にももちろん精通しているから、仕事も任せられる。
自分の事務所から人材を割くことなく、承継した事務所を運営できるわけだ。
投資した資金も数年後には償却できるし、さらなる発展も人材確保で可能になる。
こうなれば、事業承継をして顧客が増えるとともに、もう一つの利点といえるだろう。
そう考えることで、事業承継の可能性も広がるのではないだろうか?
事業承継支援室長
大滝二三男