大学院で会計と法律を専攻し、それぞれ修士論文に合格。
税法と会計、合わせて五科目の試験を受けずに税理士資格を取得。
この制度に異論が出て、今は会計と税法それぞれ1科目は試験合格 が必須。
しかし、旧制度で試験が免除になった税理士は、かなりいる。
親が税理士で、子弟が事務所を承継するために、ダブルマスターに。
親の強い勧めで大学院に行く、こんなケースも少なくない。
子弟にしてみれば、親が築いた城を守ることはでき、気が楽。
親が長生きしてくれれば、代替わりしても親の威光は続く。
創業ではないの、営業に没頭する必要もない。
もちろん良いことばかりではない。
一番の気がかりが、なんといっても、税法。
そこが突かれるのは、税理士の師弟ではないダブルマスター。
税理士事務所にも勤めていない場合には、就職も難しい。
なんといっても、税法が商売道具だけに、その学習が問題。
事務所に入ってから、税法を勉強するというのでは、雇用主は?
給料を払って研修、経験を積んで、数年後実力がついたら独立。
事務所には税理士は一人で良いという先生には、ダブルマスターはNO。
8年ほど前、娘をダブルマスターで、税理士資格を取らせた番頭さんがいた。
その娘さんの名付け親は、番頭さんの仲人である事務所の所長さん。
そんな娘さんだから、所長も喜んで2年間実務研修を受け入れた。
ところが資格を取ると、番頭は娘と共に退職し、新事務所を設立。
しかも、担当していた顧問先をすべて娘の事務所に引き抜いた。
実際にあったひどい話だが、ダブルマスターにこんな一面もあった。
こんな噂を聞いた税理士が、履歴書を見た瞬間に、排除してしまうのかも。
その一方、ダブルマスターで免除された税法を、数年かけてしっかり研究。
それも、税理士予備校で徹底的に勉強し、論文を機関誌にも発表。
実務も併せ、誰にも負けないダブルマスターと公表する税理士も。
こんな税理士なら、独立しても心配なしだろう。
事業承継支援室長
大滝二三男